レポーター山崎寛代さんが語るワイドショーが伝えられること
レポーター視点のワイドショーの魅力は何か。山崎寛代さんはこう話す。
「ワイドショーの魅力は、いい面も悪い面も含めて“人間とは何か”を伝えられることだと思っています。だから本人が言いたいことをそのまま聞くのではなく、言いづらいことまで聞くのが私たちレポーターの仕事。
いつも心がけているのは、相手にとってプラスになる取材にしたい、ということ。意地悪な問いかけをしているように見えても、切り返し次第で逆転してもらえるような球を投げているつもりです。
たとえば狩野英孝さんが10代女性とのスキャンダルで会見を開いたときは『真剣な気持ちがあれば(東京都の)条例に抵触しませんが』と水を向けたり。狩野さんはそのとき答えられませんでしたが、すべての質問に汗だくで一生懸命話そうとする姿に、誠実さと優しさが垣間見えると評判を呼びました(2017年)。
言葉だけでなく、表情やしぐさまでつぶさに映し出すのもまた、ワイドショーらしさだと思います」
デーブ・スペクターが語る日米ワイドショー比較
一方、海外のワイドショーはどんな特徴があるのか。テレビプロデューサーでタレントのはこう語る。
「アメリカで、日本のワイドショーのようにコメンテーターが多いものだと、1997年にスタートしたABCの『ザ・ビュー』があります。進行役がウーピー・ゴールドバーグら女性だけのトークショーで、オバマ大統領夫妻(当時)もゲストに来たことのある人気番組です。激しい意見のぶつかり合いが番組名物で、過去には、ウーピーが『ホロコーストは人種問題ではない』と発言して出演停止処分となったこともあるくらい。
それに比べて、いまの日本のワイドショーはとってもマイルド。坂上忍さんの自由な発言をウリとしていた『バイキングMORE』(フジテレビ系・2014〜2022年)が終わったことも象徴的ですよね。
あと日本は、テレビ局員の人事異動が多すぎますね。MCが変わると番組も変えるのは、スタッフも視聴者も育たないし、すごくもったいないですよ。
その点アメリカは番組ごとにスタッフを雇用するのが普通。希望すればずっといられるので、その道のプロが育成されていくし、長寿番組になりやすい。朝の情報番組NBC『トゥデイ』が70年以上続いているのも、そうした土壌があるからでしょう」
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2023年4月13日号