(時事通信フォト)

松坂慶子(時事通信フォト)

 そんな中、いったいいつごろから朝ドラに「祖母力」が発揮され始めたのかと思っていたところ、ぴったりのドラマがあった。BSプレミアムで再放送が始まり、またまたファンを沸かせる『あまちゃん』だ。

 ヒロイン天野アキ(能年玲奈)の母・春子(小泉今日子)の母・夏ばっぱこと天野夏(宮本信子)は、岩手県北三陸市の袖ケ浜の海女で海女クラブの会長を務めるしっかり者。東京から移住してきたアキが海女になりたいと言えば、厳しくもあたたかく指導する。普通なら、そこでアキが海女として成長するのが朝ドラなのだが、そうはいかないのが、『あまちゃん』だ。舞台は東京へと移り、やがて東日本大震災が発生する。しかし、夏ばっぱは、どんなときも故郷で踏ん張ってくれていた。

 親父が主人公の越えるべき壁だとすれば、祖母は故郷、ホームそのもの。『まんてん』で迷い込んだ森から無事に帰った万太郎はタキに抱きしめられる。すべてを包み込む祖母の力。長く故郷へと帰れなかった時期を経験し、今も不安を感じながら生きる視聴者が一番欲しているのは、この力なのかもしれない。

夏ばっぱを演じた宮本信子

夏ばっぱを演じた宮本信子

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