18年ぶりの“アレ”が見えてきた──。今年の阪神は16年ぶりに9連勝するなど、開幕から好調を維持。そんな強いタイガースを牽引するのが、今季15年ぶりに古巣に戻ってきた岡田彰布監督(65)だ。第一次岡田政権(2004年~2008年)では2005年にリーグ優勝を飾ったが、多くのOBは以前とは異なる一面を評価する。前回のリーグ優勝時に1番打者として活躍した赤星憲広氏が語る。
「僕らが現役の時と大きく変わったのは、選手との対話が増えたことです。昔はコーチを通して意見を伝えていましたが、今年は選手に直接語りかけるシーンが明らかに増えています。
実際に監督に確認したら、『今の子はどういう考えを持っているか、聞いてみないとわからんことが多い』と言っていました。年齢を重ねて丸くなったというより、時代に合わせようと努力している。昔ながらの岡田流を“現代版“にアレンジできることも岡田監督の強みです」
第一次岡田政権時に投手コーチを務めた中西清起氏は「前回より余裕が見られる」と語る。
「以前は肩肘を張ってピリピリしていましたが、今季はにこやかにコーチと談笑する姿がよく見られます。心の余裕が出てきたのでしょう」
硬軟使い分ける独自の野球観で強い阪神へと様変わりさせた岡田監督。ただし、悲願のリーグ優勝を果たすにはさらなる進化が必要になるという。元阪神監督で現役時代に岡田監督と二遊間を守った藤田平氏が語る。
「開幕ダッシュに成功した阪神ですが、間もなく“電池が切れる“はずです。特に交流戦で移動が大変な梅雨の時期は疲れがピークになる。6月以降の息切れを防いで長いシーズンを戦い抜くには、ミニキャンプを張るなどしてチーム全体をもう一度鍛え直す必要があります。もっとも、野球を熟知する岡田のことですから、何らかの手立てを考えているでしょうけどね」
18年ぶりの“アレ“に向けて、進化を続ける岡田阪神がひた走る。
※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号