ライバルの両球団はファンの気質も異なります。名門球団のドジャースファンは常勝を求めます。ファンが勝ちに飢えれば、野球の見方も厳しくなっていきます。一方でエンゼルスファンは、ドジャースファンと比べると温かくて優しいと言われています。
土地柄も関係あるのでしょうか。ドジャースの本拠地ドジャースタジアムはダウンタウンから近く、丘陵を登ったロサンゼルスの中心地に位置しています。エンゼルスタジアムは温暖な気候で広大な土地が広がるオレンジ郡と呼ばれる地域にあります。オレンジ郡周辺の住民にはどこかのんびりとした、優雅な雰囲気が漂っています。野球観戦でも、厳しい見方をするよりは、温かく見守るファンが多いのかもしれません。
このようなプレーしやすい環境を大谷さんも好んでいるようで、アナハイムのファンが好きだと発言しています。今やスーパースターとなり熱狂的なファンも多い大谷さんですが「歩いていれば声かけてもらえることも多いですし、きれいな街なので、オフシーズン、ぶらぶら歩いたりしているので、すごい気に入っているところ」と話しています。たとえ負けが続いても、変わらず応援してくれるエンゼルスファン。でも居心地の良さはエンゼルスにとっては一長一短かもしれませんね。
黄金左腕クレイトン・カーショー
2022年のオールスター戦、大谷さんは期待された二刀流ではなく、打者に専念して臨みました。ロサンゼルスのドジャースタジアムで「1番DH」として先発出場。第1打席で対戦したのがMLB屈指の黄金左腕クレイトン・カーショーです。プレーボールの打席に入る直前のこと、インタビュアーに意気込みを問われた大谷さんは、さらっと英語でこう答えました。このシーンも話題になりましたね。
「ファーストピッチ(初球)、フルスイング! ザッツ・イット(それだけ)」
そして宣言通り、初球の直球を思い切り振りましたが、バットの先っぽに当たってセンター前ヒット。ホームランを狙っていた大谷さんは苦笑いでした。さらにその直後、けん制球に引っかかり、タッチアウト。これにはカーショーも白い歯を見せて、してやったりの笑顔でした。
実は大谷さんがカーショーから安打を放ったのは初めてで、レギュラーシーズンの対戦では8打数無安打3三振と抑え込まれています。