一方で、「納豆に様々な健康効果が期待できる」という話には、一定の根拠があるといいう。
「大豆には前立腺がんなどの予防効果があるという研究があり、大豆を元にしている納豆にも同様の効果が認められます。
また、日々の食事で積極的にプラントベースフード(植物性の食材からなる食品)を摂ると健康にいい、つまりは『肉より野菜のほうが体にいい』とする考え方は正しい。緑黄色野菜には抗酸化作用があり、身体のサビを取ることでがんを予防する効果が期待できます。『ニンニクには疲労回復効果がある』というのも有力視されており、米国立がん研究所が発表した“デザイナーズフード(がん予防効果のある食品)”のなかで、ニンニクの抗酸化作用、がん予防効果は全野菜の頂点に立っています」
それでは、サプリメントなどの栄養補助食品で不足する栄養を直接補うのは健康にいいのか。
「ビタミンC、D、亜鉛など一定のサプリに限ればある程度の効果が認められています。
一方、『プロテインを摂取すると筋肉が大きくなる』『グルコサミンを摂取すると膝の痛みに効果がある』といった話には根拠がありません。プロテインのタンパク質は体内でアミノ酸に、グルコサミンは糖とアミノ酸に分解され吸収されますが、それが筋肉や軟骨に再構成されるとは限らないのです。
なかには健康を害する恐れのあるパターンもあるから注意が必要です。米フロリダがんセンター研究所による11万人調査で、βカロテンをサプリなどで摂取した対照群の肺がんリスクがわずかに高まったという調査があります。因果関係は解明されていませんが、食物から栄養を摂ることと栄養素だけを摂取することは大きく異なるようなのです」
サプリなどは医薬品ではない。あくまで栄養補助食品と捉え、食物から栄養を得ることが基本というわけだ。