胃薬で糖尿病になる!?
血圧と同様に、副作用で血糖値を上げる薬も数多い。
「降圧剤の多くが、副作用として血糖値を上昇させる、または高血糖症になるとされています。また、慢性副鼻腔炎やリウマチなどで処方されることのあるステロイド(経口薬)は、血圧と血糖値の双方を高める副作用が認められています」(同前)
降圧剤で血糖値が上がる作用機序について、内科医の谷本哲也氏(ナビタスクリニック立川)が解説する。
「ある程度わかっているのがサイアザイド系利尿薬とβ遮断薬です。いずれも、すい臓のβ細胞に影響を与える薬のため、(血糖調節ホルモンである)インスリン分泌が低下して血糖値を上げると考えられます。また、β遮断薬は分泌されたインスリンの働きを鈍くするとも言われています」
こうした薬は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで公開されている医薬品の添付文書の副作用の欄に、「高血圧」「血圧上昇」「高血糖」「血糖値上昇」などの文言で記載がある。
また、現時点で副作用として認められてはいないが、近年の研究で話題なのが、「ある胃薬」を飲み続けることで糖尿病になりやすくなるという海外の研究結果だ。
2022年4月に米国内分泌学会誌(電子版)に記載されたイタリアの大学の研究論文によると、胃腸薬としてメジャーなプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長く服用した人ほど糖尿病の発症リスクが高かった。同研究は、イタリア・ロンバルディア州在住の40歳以上の男女約78万人を、平均6.2年間、追跡調査した結果だという。
PPIが糖尿病のリスクを高める機序は不明だが、論文では胃腸薬が腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスに影響した可能性が指摘されている。