その舞台も周到に整えた。自民党は野党の要求に応じてマイナンバー問題の国会閉会中審査(衆院7月5日、参院同26日)の開催を決め、岸田首相は「関係閣僚に説明を尽くさせる」と言明した。政治ジャーナリストの野上忠興氏は、これを“河野潰し”作戦と見る。
「岸田首相が閉会中審査に応じたのは、担当大臣の河野氏に野党から集中砲火をあびせさせて火だるまにするためです。そうなれば河野氏は来年の総裁選までにイメージを回復するのは難しいから、首相は内閣改造で河野氏を更迭し、無役にしても怖くないと読んでいる。いま引責辞任させるより大きなダメージを与えることができるわけです。河野氏の総裁の芽を事実上潰し、マイナンバー問題も幕引きしようという一石二鳥の狙いでしょう」
そして内閣改造は、総務省文書問題をめぐる「ねつ造」発言の責任がウヤムヤになっている高市氏を交代させる絶好の機会だ。
「後ろ盾の安倍晋三・元首相をなくした高市氏を交代させても反発は出ないでしょう。後顧の憂いなく更迭できる」(野上氏)
次の総裁選のライバルである茂木氏、河野氏、高市氏をいっぺんに切り捨てるという指摘だ。
※週刊ポスト2023年7月21・28日号