「千葉いのちの電話」で相談を受ける女性(提供写真)

「千葉いのちの電話」で相談を受ける女性(提供写真)

 一方で、差し迫った状況での電話が届くこともあるという。「千葉いのちの電話協会」相談員の60代女性が語る。

「『いまビルの屋上にいます』と消え入りそうな声で電話をいただいたことがあります。その時はまず『ゆっくりその場から離れてください』と身の安全を確保してもらってから、行動に至った原因を丁寧に聞き、とにかく無事にその日におうちに帰っていただく。その上で『明日もお電話待っています』と約束していただくことにしています」

 日本の自殺者の男女内訳は、2:1の割合で男性が多い。電話には、60代以上の男性から悩みの声が多く寄せられるという。

「特に男性は会社をやめると、生きがいと人との付き合いを同時に失ってしまう人が多いんだと思います。『今日一日、誰ともしゃべっていないんだ』とポツリと話す方もいらっしゃって、生きる意味に悩まれている方の相談が多い印象です。

 重い話を聞いて、相談員として疲弊することはないかとよく聞かれますが、相談員同士で苦しみも共有できるので、つらくなって辞めてしまう人はほとんどいない。たまに相談者の方からお手紙が届くと、一期一会の関係だとわかっていながら、涙が出るほど嬉しい気持ちになります」

主な相談窓口

・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)

ナビダイヤル:0570-783-556
午前10時~午後10時

フリーダイヤル:0120-783-556
毎日午後4時~同9時
毎月10日:午前8時~翌日午前8時

※週刊ポスト2023年8月4日号

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