体重1kg減は“シグナル”
この“夏の血圧異常”が厄介なのは、「症状に気付きにくい」点だ。
「この時期にめまいやふらつき、頭痛、動悸があっても、熱中症の初期症状に似ているため、血圧の異常だとわからずに過ごしてしまいがちです。症状を少しでも自覚したら、まずは血圧を測定する必要があります」
血圧測定の結果を「甘く見ない」ことも重要だ。
「降圧剤を飲んでいる患者さんでいつもより数値が低く出た場合、体質が改善したのではなく、薬の効きすぎによる症状である可能性があります。自分の体調に慢心するのではなく、“低すぎるかも”と冷静に捉えてください」
血圧の下がりすぎによる重篤な疾患である「脳梗塞」は早朝に起きやすいという。
「気を付けてほしいのが、老化により腎臓機能が衰えて夜間頻尿となっている高齢者です。夜間の排尿と発汗で脱水傾向に傾き、起床時には血液がドロドロになっていて血圧も下がります。また、自律神経のうち交感神経が優位になる早朝は、もともと老化により狭まっていた血管がさらに収縮し、詰まりやすくなる。脱水と交感神経優位の二つの要因により、早朝は脳梗塞の発症リスクが高まると考えられます」
夏場の血圧異常にはどのように対策すべきか。ポイントは、夏と冬の血圧測定の数値の「差」にある。
「神経質になる必要はなく、一般論として朝食前と、夕食前か就寝前の1日2回ずつ測定すれば十分です。降圧剤で血圧をコントロールしている場合、冬の時期と比較して20近く血圧が下がっていたら、低血圧を疑ったほうがいいでしょう。医師への相談が必要です」