実は、原子力施設から出るトリチウムを含んだ水を海洋などに放出しているのは日本だけではない。
日本は年間最大22兆ベクレルのトリチウムを含んだ処理水を海洋放出していく計画だが、中国では2021年だけで東シナ海に面した秦山原発(浙江省)が218兆ベクレルのトリチウムを海洋放出。福建省の寧徳原発は約102兆ベクレル、南シナ海に面した広東省・陽江原発は約112兆ベクレルを放出している。近隣諸国への通告はなされていない。
韓国も2019年に釜山近郊で日本海に面した古里原発が91兆ベクレル、月城原発が31兆ベクレルを海などに放出したことがわかっている。
自分たちの国は日本よりはるかに大量のトリチウムを海洋放出しながら、「汚染水は日本人が全部自分たちで飲み干して、体内浄化させろ」とは、言いがかりであっても聞き捨てにはできないのだ。
※週刊ポスト2023年9月8日号