リードギターの成田の絶叫で始まったライブは、ベースの高橋によりメンバーの成田、岡本、前田耕陽(55才)が紹介されるとすぐさまヒートアップ。メンバーが「ロックの聖地!」と叫べば、観客は「イエー!」と応え、ビートの効いた曲から、じっくり聴かせるナンバーまで、幅広い楽曲で観客を魅了した。ライブに参加した50代の女性ファンは余韻にひたりながらこう話す。
「岡本さんが『座ろうよ。みんなで』と声をかけ、しっとりした曲に耳を傾けていると、オレンジ色だった空がだんだん暗くなって……。胸がジーンとしましたね。彼らも私たちも、長い時を刻んで、いい大人になったんだなぁって」
MCを挟みながら自由に進むライブで披露された歌声は、全盛期に勝るとも劣らない。
「ステージで4人が繰り広げる演奏は本当に息ピッタリで、ボーカルの成田くんや高橋くんの声量も劣えていませんでした。全員が揃った姿を見ることができて、本当に幸せです」(別の50代女性ファン)
4人の意志は「バンドを続ける」
男闘呼組は、1988年8月に『DAYBREAK』でデビュー。当時としては異色の本格的なロックバンドグループだった。その年の年末には『NHK紅白歌合戦』に出場し、翌年には東京ドーム公演を成功させるなど一気にスターダムにのし上がった。しかし、1993年6月末に突如活動休止を発表し、同年夏に予定されていたライブも行われなかった。
長い間、個々での活動が続いていた男闘呼組が「2023年8月末まで」という期限付きで活動を再開すると報じられたのは、2022年7月16日のことだった。そして4人は同日放送された『音楽の日』(TBS系)で復活を遂げた。『音楽の日』は例年、中居正広(51才)が司会を務める大型歌番組である。
「残念ながら中居さんは体調不良のために司会を降板していましたが、事前に行われた収録現場には姿を見せ、演奏をうれしそうに見守っていました。中居さんにとって男闘呼組は大切な先輩です。復活が待ち遠しかったのでしょう。2022年11月頃に体調不良による休養を発表した中居さんに、男闘呼組のメンバーは励ましのメッセージを送ったそうです」(テレビ局関係者)
1年限りの活動再開の理由について、関係者が明かす。
「ライブを行わないままに活動を休止してしまったことが大きな心残りだったようです。2020年8月に、27年ぶりにメンバーが集結。そこで4人は活動再開を話し合ったのです。その際に決めたのは、男闘呼組がデビュー35周年を迎える2023年8月末まで活動することと、中止してしまったライブの開催地を回ることでした」
満を持して迎えた全国ツアーは、全国20都市67公演、計35万人を動員。そして彼らがフィナーレを迎える場所に選んだのが、日比谷野音だった。
「ジャニーズの元祖ロックバンドとして、彼らの“ロックの聖地”に対する思いは相当なものです。今年で完成からちょうど100年という節目を迎える野音は、彼らが35年前に初めて単独野外ライブを行った思い出深い場所でもあります」(前出・音楽関係者)
聖地で行われたラストライブは盛り上がり、2度のアンコールを終えても、客席からの熱いコールは収まらない。声援に応えるようにして「ありがとう! もう1曲だけやります」と準備を始め、いよいよトリプルアンコールへ。
最後に披露した『Forever』は、もともとのセットリストにはなかった楽曲で、演奏を始めた4人の頬には大粒の涙がつたい、成田は声を詰まらせた。最後にファンに投げキッスをしてステージを去ったメンバーとの別れを惜しむように、ファンたちはしばし会場にたたずんでいた。