今シーズン最後のマウンドは、わずか26球での降板となった(写真/共同通信社)

今シーズン最後のマウンドは、わずか26球での降板となった(写真/共同通信社)

丸々2年立てない

 今季オフには、全球団との契約交渉が可能となるFA(フリーエージェント)権を取得する大谷。複数球団による“大谷争奪戦”が起こり、メジャー史上最高額となる大型契約を結ぶとみられていた。

 現地メディアでは「12年総額6億ドル(約876億円)」になるとの予想も飛び交う中で判明した右肘の故障を受け、米国のスポーツ専門チャンネル「ESPN」は、「6億ドルという契約保証はいまとなっては白紙で、おそらく5億ドル(約730億円)も白紙になるだろう」と報じている。実に100億円以上、大谷の“価値”が下がってしまったことになる。

 しかしながら、生活のすべてを野球に費やし、入念なケアを怠らない大谷が、周囲も気づくほどの異変を自覚していなかったとは考えにくい。大型契約の可能性を控えたこの時期になぜ、大谷はリスクを冒し、マウンドに立ったのか。

 メジャーリーグは、各球団が所属するリーグを勝ち抜くとプレーオフに進出でき、そこでの勝者がワールドシリーズで世界一を争う。大谷を含め全選手が、その栄光を目指して戦っているわけだが、残念ながらエンゼルスは9年もプレーオフから遠ざかっている。全米でも最も“弱い”チームの1つだ。

「大谷選手にとってエンゼルスは、メジャー挑戦に際して、懐疑的な声も多かった二刀流に理解を示し、自分の可能性に懸けてくれた球団です。彼はそのことに恩義を感じているし、チームへの愛着も人一倍強い。しかし、今季オフにFAを取得する大谷選手にとっては、今年がエンゼルスでプレーオフに出るラストチャンスともいわれていました。

 本人も体の異変を感じていたでしょうが“なんとしてもチームをプレーオフに導きたい”という思いが勝ったのでしょう。だから受けると“故障”が判明することがわかっていた検査を拒否した。チームのため“腕がちぎれても投げる”というくらいの覚悟で無理を重ねてしまったのではないか」(前出・スポーツジャーナリスト)

 3月のWBCでも日の丸を背負い日本を優勝に導いた大谷は、シーズン開幕前からフルスロットルで戦い続けてきた。体が悲鳴をあげるのも当然と言えるが、それでもマウンドに立ち続けたのは、まさに“エンゼルス愛”によるものだろう。メジャーリーガーは個人主義であり、チームの勝敗よりも自分の価値を守ろうとするのが一般的とされる。そんな中、大谷はチーム愛でも際立つ存在なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
《大谷は誰が演じる?》水原一平事件ドラマ化構想で注目されるキャスティング「日本人俳優は受けない」事情
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
パリ五輪への出場意思を明言した大坂なおみ(時事通信フォト)
【パリ五輪出場に意欲】産休ブランクから復帰の大坂なおみ、米国での「有給育休制度の導入」を訴える活動で幼子を持つ親の希望に
週刊ポスト