ライフ

「外道」「半端野郎」「犬畜生」…暴力団組織で誹謗中傷の文言並ぶ「怪文書」が出回る事情

「怪文書」はアナログな手紙の形をとっていることが多い(イメージ)

「怪文書」はアナログな手紙の形をとっていることも多い(イメージ)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団組織で出回る「怪文書」について。怪文書が出る背景にはどんな事情があるのか。

 * * *
 ヤクザといえば恐喝や恫喝などで相手を脅して貶める目的で、怪文書を出す側にいると思うかもしれない。だが実際、ヤクザ社会では一般企業などより怪文書が出回ることは多いのだ。

 先日もある指定暴力団の名前で「抹消再通知」なるものが送られてきた。赤字で書かれた再通知のタイトルに下には、その人物の所属である下部団体の組織名とその指定暴力団での役職が書かれていたが、そこを見て思わず噴き出してしまった。「元若者」と書かれていたのだ。おそらく元若頭と書くつもりだったのか、それともからかって愚弄するつもりだったのか。とにかく最初の一行を読んだだけで、これは怪文書だと思わせるものだった。

 氏名、年齢は赤字だ。ヤクザ社会では日常的な通達など組織内の連絡事項は、電話やメールのことが多い。しかし破門状や絶縁状など内外に知らしめる必要がある場合は、通常、通知として文書が出されている。破門と絶縁には区別があり、破門は一時的な追放処分であるが、絶縁は二度と戻ってこれない永久追放とされている。破門状には2種類があり、タイトルや名前など重要部分が赤字の物と黒字の物がある。一般的な破門状は黒字で、こちらだと場合によって復帰が可能。だが赤字の破門状が出されてしまうと組織への復帰は不可能となる。

 抹消再通知なるタイトルは赤字だったので、復帰は不可能と言いたかったのだろう。通知内容にはまず「席を預かったが本人その器ではなく」とあり、所属組織で役職についたものの、その器ではないと断罪する主旨の通知だとわかる。続けて「意地も根性もないただの半端野郎でございます」とあり、みかじめ料を着服されたのか「自分の懐に入れときながら若い衆になすりつけ、努めて若い衆の女に平気で手を出すような外道です」と指摘している。総本部が出したなら「入れときながら」という書き方はしないだろう。暴力団組織は、このような通達を出す際には、表現はどうであれきちんとした日本語を使うものだ。

 この通知の真意を関東を中心に活動するある暴力団幹部に聞くと、「怪文書だろう。詳しいことはわからないが、外道と指摘されたヤクザ自身、人気がないからな」と話していた。噂話が好きなヤクザは多いだろう。誰がどこで何をしているのか、何をしたか、誰とどんな関係か、見聞きしたり仕入れた情報を日々、シノギのネタにしている者もいる。それはヤクザ社会の中でも同様で、どこの組の誰がどんな人物で何をやっているのか、人望があれば評判になり、なければそれが噂になる。そのためヤクザ同士は大きな組織であっても、他の組織であっても、その人物に人気があるかないかは把握しているらしい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト