記者A:そもそも女性登用の目玉が小渕優子・選対委員長というのが誤算の始まり。総理は「選挙の顔」と言い切ったけど、世論調査でも政治資金問題を抱えた小渕さんの起用を「評価しない」という声が強く、これでは選挙の顔になるはずがない。
記者B:「選挙の顔」というのは総理のリップサービスだよ。入閣させずに党4役に据えたことからも、総理にすれば批判は想定内。
実は、小渕の登用を最も強く推したのは財務省だった。彼女は初入閣した後に格下の財務副大臣を経験していて、同省の“秘蔵っ子”でもある。財務省としては言いなりになる彼女を出世させたい。総理にすれば、彼女の起用は亡くなった青木幹雄・元自民党参院議員会長の遺言でもあるし、茂木敏充・幹事長への牽制にもなるから、意地で使った。
記者D:彼女は就任会見でドリル事件【※注2】を質問され、涙ぐんで「決して忘れることのない傷」と釈明していました。
【※注2/2014年10月、当時経済産業相だった小渕優子氏の政治団体が開催し、地元支援者が参加した観劇会をめぐり収支に不透明な点があることが報じられ、元秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載・不記載)で有罪判決を受けた。東京地検特捜部が関係先を捜索する直前に、会計書類を保存したパソコンのハードディスクがドリルで破壊されていたことも注目を集めた】
記者A:あの涙は反省じゃない。事件から何年も経っているのに、まだ蒸し返すのかというマスコミへの怒りじゃないか。
記者B:涙の会見も財務省あたりの入れ知恵らしいね。
(第3回につづく。第1回から読む)
※週刊ポスト2023年10月6・13日号