“立ちんぼ”

取材中、“交縁”でつながった人達への感謝の言葉を繰り返したショウコさん

「単純に今は、未成年が多いということもあります。15歳とか16歳の子はもちろん店舗では働けない。あと、私もそうなんですが、“紹介”でこの界隈に入るという子も多いですね。私はメン地下で知り合った女友達が“稼げるよ”と教えてくれたのがきっかけ。仕事が終わったらみんなで食事に行くこともあります。地元の子たちとは話が合わないから、歌舞伎町の子たちと一緒にいるほうが、楽しいんです。だから、捕まった時にはみんな、すごく心配してくれて……“出所”したときに、父に携帯を没収されたのですが、どうしても、皆に返信をしなくちゃって思って、携帯を返してもらえるよう、お父さんにお願いしたんです」

 ショウコさんは、取材中に何度も、何度も「友達が心配してくれた」「太パパ(パパ活でコンスタントに金額を使ってくれる男性のこと)も手を尽くしてくれた」と“交縁”でつながった人達への感謝の言葉を繰り返すが、街の友人たちや「パパ」たちよりも、誰よりも彼女を心配していたのは両親ではないのか──しかし現在、ショウコさんは実家へと戻らず、友人の家で生活している。

「“出所”した日は、お母さんは号泣し、父親にはこんこんと諭されましたし、両親とは何度も大喧嘩しました。最後には父が『急にこれまでと生活を変えることは難しいだろう。誕生日までは自由にしなさい。そのあとは、戻ってきて、普通の生活をしなさい』って“猶予期間”をくれました。今は、捕まって良かったと思ってます。捕まらなかったら辞められなかったし、体を売っていいことなんて一つもなかったから」

 彼女は先ほど、「女の子が可愛くいるためにはお金がかかる(だから“推し”がいなくなっても風俗業界に入った)」となんの疑いもない様子で話していた。だから、そのための手段として「体を売ること」にリスクや抵抗を感じていないのだろうとリ思っていた。そんな彼女が発した「体を売っていいことなんて一つもなかった」という言葉。だが、その一方で、こんなことも話す。

「“出所”してからは、まず心配してくれてた友達に『元気な姿』を見せるために公園にいきました。そこで最初に浮かんだ言葉? そうですね……『ただいま』です」

 取材当日は、偶然にも彼女の21歳のバースデーだった。

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