「今日の夜は、店で担当と一緒に過ごします。担当は、私が逮捕されたことにショックを受け、号泣して、しばらくお店に出られなかったっていうから……今後ですか? 今後は、父にも言ったのですが、体を売る仕事はやめて、地元に帰って一般の仕事を探して、普通に暮らします。でも、まだ店には25万円の未収があるから、それをまずは返し終わって……それからは、昼職の給料で細々と担当を支えてあげたいな」
取材を終え、担当の元へと急ぐ彼女を新宿駅まで送った。彼女は道すがら「公園でも、場所によって値段が違って。大体、ホテル別で1万円とか1万5000円とかが相場なんですけど、公園の裏の道だと3万円に単価が跳ね上がるんですよ」と屈託なく、当事者でなければ知りえなかった“裏事情”を話す。公園近くの広場を通りかかると、そこに立っていた顔なじみの友人であろう女性に「おーい」と手を振る。「つかまってから、覆面警官の見分け方がわかるようになりました。二人一組で、ちょっと離れて歩いていて、一人がスーツを着てるんです」と話す彼女の様子は、どこか誇らしげですらあった。
ショウコさんに会った日から数日後、大久保公園の横を通る機会があった。土曜日の20時すぎということもあって、界隈には、多くの若い女性と、それ以上に多くの、彼女たちに声をかける男性の姿があった。その中の一人は、ゆるくカールした髪の毛をおろし、ふわふわのロングワンピースに身を包んだ、ショウコさんにそっくりな女の子だった──。
(了。前編から読む)