「そのように解釈する信徒も一部いるというだけで、実際のところ、明確に音楽を禁止する記述はコーランにありません。イスラム教徒が多数を占める国にも歌手や音楽イベントは存在し、ほかの宗教と同じように音楽が楽しまれています。
音楽フェスが『ハマス』を刺激してしまったという説は、間違っていると思います。私は、『ハマス』の構成員が自ら公開したBGMつきの動画を見たことだってありますよ。音楽フェスがハマスの標的になった理由としては、ガザの近くで多くの国からの参加者が集まったことが可能性として考えられます。さまざまな国の人質を取ることで国際社会から注目され、ハマスの要求を交換条件として突きつけることができます。自分たちの主張を世界に発信することも、テロリストの目的なんです」
世界の4人に1人はイスラム教徒といわれている。自身もイスラム教徒であるフィフィは、「イスラムへの誤解が広がっている」と苦言を呈する。
「ハマスのような過激派の主張は、イスラムを代表するものではありません。“イスラムは危険なテロリストだ”というイメージが広がって困るのは、善良に暮らす大半のイスラム教徒です」
正しい知識を身につけることが大切だという。
「ハマスのやり方が正しいとは思えませんし、彼らを擁護するわけではありません。しかし、今回の攻撃に至るまでに、イスラエルによるパレスチナへの弾圧もありました。物事には必ず背景があり、今だけを切り取って考えても仕方ありません」
イスラエル建国から75年続くパレスチナ問題。世界中がその行方を見守っている──。