この薬は血管を収縮させる作用を持つエンドセリンの働きを阻害する。発症から48時間以内に止血治療が終了している患者に対し、15日間連続で点滴投与を行なう。
「新薬は動脈の血管壁に作用して攣縮を抑えるのですが、体液を血管内に貯める作用もあるため、顔や足などにむくみを生じることがあります。さらに心不全や肺水腫も起こしやすいので、点滴を続けている間はそれらの兆候がないか、しっかり確認する必要があります。このように一時的な副作用もありますが、新薬の登場で明らかにカテーテル治療を追加しなければいけない脳血管攣縮は減少しています」(木村副部長)
保険使用でピヴラッツを15日間投与した場合、費用は約70万円となる。高額だが、半身麻痺などの重度後遺症を回避できるメリットは大きい。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号