ボクは打ち取られるパターンが決まっていた。ところが、長嶋さんには球際の強さがあったので、この形で打ち取られるという決まったパターンがなかった。だからここ一番で強さを発揮したんだと思います。
そんな長嶋さんをライバルというとらえ方をしたことは一度もありません。ボクが高卒ルーキーとして入団した時には、長嶋さんは六大学のスターとして、プロ1年目から新人王を獲得するような活躍でした。
一方のボクは“三振王”とヤジられるレベルの選手だった。周りはライバルとして見るが、ボクは常に先輩後輩という意識があり、ライバルと思ったことがない。だから並び立ったんじゃないでしょうか。
聞き手/鵜飼克郎(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号