3割の人が死に際に後悔するかもしれないと感じている

3割の人が死に際に後悔するかもしれないと感じている

「毎日体に機械をつないで何リットルもの水を交換しなければならない腹膜透析のように、延命治療の中には大きな手間のかかるものもあります。加えて、透析はやめると2週間ほどで亡くなってしまうことが多く、一度始めたらやめるのは難しい。

 とある高齢の女性の患者は“透析をしなければ死んでしまう”と言われて承諾しましたが、透析の手間が次第に重くなって自宅に帰ることができなくなり、療養病棟を転々としていた。“こんなに大変なら、家族と過ごせるうちに死んでおけばよかった”と、後悔されていました。

 一方、口から食事をとることができなくなった場合、鼻からチューブを挿入する経鼻胃管栄養法という延命治療を行うことがあります。ですがこれは、長生きを可能にする一方で苦痛を伴う場合がある。苦しさのあまり無意識にチューブを抜いてしまう患者には、手にミトンをはめる『抑制』という措置がとられることがあります」

 そのため、安らかな最期のために拒否する人も少なくないと後閑さんは話す。

「しかし、とある100才の女性は、若くして妻を亡くした息子たちとの“お母さんは長生きしてね”という約束を守るため、抑制をされてもこの治療を受け、最後はきっと満足され、亡くなられました。苦しくとも、後悔はなかったのではないかと思います」(後閑さん)

 最期が近づけば、自分や大切な人にとって後悔がないのはどちらか、こうした判断を迫られることになるかもしれないのだ。自身も子宮頸がんのサバイバーである緩和ケア医の田所園子さんは、後悔のない選択のためには「患者力」が大切だと語る。

「医師である私でさえ、がん宣告を受けたときはひどく取り乱しました。しかしその後は自分の病気と治療について必死で調べ、担当の医師を質問攻めにして、絶対に後悔がないよう、治療の方針を選択していった。

 正直なところ、病気になってしまったらどんな結果になるかはわかりません。それでも後悔しないために大切なのは、自分で調べて、わからないことや気になることを医師に尋ね、自分の意思で決めることです」(田所さん・以下同)

 病状や治療法のほか、最期をどこで迎えたいか、延命治療をするかしないか……可能なら、その理由まで、親しい人に伝えておいてほしい。

「できれば元気なうちに、たとえ話として話し合っておいてください。体の苦痛も心の動揺もなく、死に現実味がないときに話した方が、本心から冷静に話し合えます」

※女性セブン2023年11月23日号

「よい死」のための6つの条件とは?

「よい死」のための6つの条件とは?

関連キーワード

関連記事

トピックス

ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
やりたいことが見つかると周りがみえなくなるほど熱中するが熱しやすく冷めやすいことも明かした河合優実
大ブレイクの河合優実、ドラマ『RoOT/ルート』主演で感じる役柄との共通点「やりたいことが見つかると周りが見えなくほどのめり込む」
NEWSポストセブン