霧島の師匠・陸奥親方は協会の実質ナンバー2
霧島にはさらなる追い風がありそうだ。師匠が協会の理事で実質ナンバー2とされる陸奥親方であることが関係しているという。相撲ジャーナリストが言う。
「陸奥部屋が所属する時津風一門には、現役時代に実績があって相撲協会の理事候補に相応しい親方がいない。そこで陸奥さんが“1期だけ”という条件で担ぎ出された。時津風一門は2人の理事を出しているが、年寄名跡の数のうえでは本来、1人しか出せない。そのため、理事選にあたっては提携関係にある伊勢ヶ濱一門の余った票はもちろん、二所ノ関一門からも調整して回すことになっていた。陸奥さんは二所ノ関一門の大寿山(現・花籠親方)、若嶋津(現・荒磯親方)と初土俵が同じ同期生ですからね。
4人の理事を出せる出羽海一門でも陸奥さんフォローすることになっていた。八角理事長の後ろ盾である尾車親方(元大関・琴風)の支援もあるので、各一門が後押ししやすい構図があるのです。もちろん陸奥さんの人柄、人望もある。九州場所中は理事室で理事や副理事、役員待遇など協会執行部が一緒にテレビ観戦しており、そうしたなかで“愛弟子を師匠の定年前に横綱に”と前向きな空気になっている」
それに対し、貴景勝の師匠は元貴乃花一門の常盤山親方(元小結・隆三杉)。貴乃花親方が協会を去ったことで弟子を受け入れることになった。言ってみれば“貴乃花の遺産”という位置づけになる。前出・相撲ジャーナリストが続ける。
「旧貴乃花一門の親方衆は二所ノ関一門や出羽海一門に分散したが、いずれの親方も要職に就けないでいる。立ち合いの態度が悪いと注意を受けた豊昇龍は、朝青龍の甥っ子というマイナス要因もあるが、旧貴乃花一門の立浪部屋(元小結・旭豊)の所属で目をつけられやすい。協会執行部と貴乃花親方が骨肉の権力闘争が繰り広げられたのは5年前の話になりますが、その因縁は今の角界に根深く残っているのです」
※週刊ポスト2023年12月15日号