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『ブギウギ』制作統括が明かす、柳葉敏郎だからこそ表現できた父親像 “哀愁を漂わせつつ明るさを失わない”お父ちゃん・梅吉

柳葉敏郎(右)だからこそ表現できた「お父ちゃん」(写真/NHK提供)

柳葉敏郎(右)だからこそ表現できた「お父ちゃん」(写真/NHK提供)

 最愛の妻に続き、息子にまで先立たれて……NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』が描く「お父ちゃん」は、悲しみから逃れようとして娘のスズ子に面倒をかけてばかりだが、その生々しさたるや。お父ちゃんの気持ちが痛いほどよく分かる。

 弟の六郎(黒崎煌代・21)が戦死したとの報せに、ヒロインのスズ子(趣里・33)と梅吉は再び悲しい現実に突き落とされる。スズ子にとって残された家族は、血の繋がらないお父ちゃん(梅吉=柳葉敏郎・62)だけになってしまった。

『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』の著者で朝ドラウォッチャーの田幸和歌子氏が語る。

「梅吉さんは道楽者で頼りない父親だけど、妻(水川あさみ・40)を“ツヤちゃん、ツヤちゃん”と溺愛し、誰よりも大事にしていました。だからこそ、ツヤが病死して東京のスズ子のもとに転がり込んでからは、無気力で酒ばかり飲んでいるダラしない父親になってしまった。スズ子に弟子入りを志願した小夜(富田望生・23)を可愛がり、血の繋がっていないスズ子に『小夜ちゃんのほうがよっぽど娘みたい』なんて無神経なことも言ってしまいます」

 ただ、そうした言動からも、梅吉の本質に気づかされると田幸氏は言う。

「梅吉さんはスズ子のことを本当の娘だと思っているからこそ、カッコ悪い部分もさらけ出せるし、思ったことがすぐに口に出てしまう。スズ子とのやりとりに、梅吉さんの愛情深さを感じます」

ダメな父親でもいいんだ

 情けないけど憎めない──そんなお父ちゃん像について、『ブギウギ』制作統括の福岡利武氏はこう語る。

「スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんの資料には、お父さんが“芝居や映画が大好きな人だった”とあり、楽しむことが大好きで人情味があって懐が深い、そんな部分を膨らませて梅吉のキャラクターが作られました。

 脚本の足立紳さんは“ダメな父親でもいいんだ。それでも家族は進むんだ”という強い思いを込めて描かれたのだと思います。現在は映画監督や脚本家として活躍する足立さんも、高い評価を得るまでは色々と苦労されたようで、奥様に頭が上がらないそうです。そんなご自身を投影した梅吉には、強い思い入れがあるはずです」

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