私たちの心を熱く震わせてくれた

心を熱く震わせてくれた

「お芝居が素晴らしすぎて、劇団員たちも勝手に涙が出てくる」

伊原:撮影の序盤で「この作品は絶対に面白くなる」って思った瞬間があるんです。トップスターの大和礼子さん(蒼井優)と橘さんが梅丸少女歌劇団(USK)を辞める報告をした際、スズ子が「いやや、辞めんといてください」と懇願する場面で、リハーサル前のドライ(カメラなしの稽古)の時点で趣里さんがフルパワーで演じてくださって。その気持ちを受けて皆も熱くなっていくのを肌で感じたんです。この感じは映像にも出るし、この空気感から「『ブギウギ』はすごく素敵な作品になるんだな」と確信したシーンの一つでした。

翼:あのシーンは皆さんのお芝居が素晴らしすぎて、それにつられて(USKのメンバーとして出演していた)OSKの劇団員たちも勝手に涙が出てくるし、詰め寄る台詞もアドリブで出てくる。リハーサルを重ねるごとにどんどん熱量が上がっていました。まさに“ザ・青春”という感じで、心から泣き笑いできるUSKが愛おしくなりました。

升:現場は年齢の離れた若い女性たちばかりで、僕は完全に圧倒されていましたね。役の上でも強面の社長という“異物”だからなかなか溶け込めなかったけど、彼女たちを見てほんとに“ザ・青春”やな、素敵やなと思っていました。

 そうやって最終的にUSKの単独公演で見せたラインダンス、あれはどれくらい練習したの?

伊原:個別に稽古をしていましたが、実際のホールの大きさで練習することはできなかったので、撮影前日のリハーサルでやっと全員が揃って、一列に並んでラインダンスなどができたという感じでした。

翼:ラインダンスはシンプルだからこそ1人でもミスするとすぐバレる(笑)。舞台だったら、一つの公演の中で一回だけの場面ですが、『ブギウギ』では何回も撮りましたからね。

伊原:最後に16回連続で「足上げ」をするので、ヒールを履いているのもありますし、足への負担は大きいです。なので、皆で“集中して決めよう”と、トータルで踊ったのは3、4回だったと思います。一発勝負のドキドキ感は映像でも伝わったんじゃないかな。

第2回に続く

【プロフィール】
升毅(ます・たけし)/1955年生まれ、東京都出身。1985年に演劇ユニット「賣名行為」を結成。1991~2002年は劇団「MOTHER」を主宰。主な出演作にドラマ『沙粧妙子-最後の事件-』『高嶺の花』など。『風のハルカ』『あさが来た』などNHK朝ドラにも多数出演。

翼和希(つばさ・かずき)/大阪府出身。2013年、OSK日本歌劇団入団。男役。主演作『へぼ侍』(脚本・演出、戸部和久)が2024年1月に大阪、2月に東京で再演が決まった。2024年2月21、22日には『翼和希コンサートin浅草』が開催予定。

伊原六花(いはら・りっか)/1999年生まれ、大阪府出身。2018年にTBS『チア☆ダン』にて女優デビュー。NHK朝ドラ『なつぞら』などに出演。主演作のディズニープラスオリジナルドラマ『シコふんじゃった!』が配信中。

撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2024年1月1・5日号

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