血管の材料であるタンパク質が不足すると、血管の弾性が失われ、脆くなり、破れやすくなってしまいます。塩分摂取で血圧が高くなるうえに、血管が脆くなれば、破れやすくなるのも無理はありません。当時は血圧150くらいで脳出血を起こす人が多かったようです。
全国的に「減塩運動」が実施されたこともあり、脳卒中が日本人の死因1位の座を「がん」に譲り渡して今日に至りますが、私は「減塩」ばかりが脳卒中減少の理由ではないと考えます。この間に家庭でも外食でも「肉類を食べる機会が増えた」ことで、日本人のタンパク質摂取量が飛躍的に増え、「血管が丈夫になった」ことも大きな要因と言えるでしょう。
実際、高血圧対策として「減塩」を強く勧めるのは、実は根拠があまりありません。そもそも減塩だけでそんなに血圧が下がるわけではなく、塩分を減らしたことで平均寿命が伸びるというデータもないのです。
血圧をどう保つかは「自己選択」できる
私自身、降圧剤で血圧を170程度に保っていると先に述べました。それは、薬を飲まないと220などに上がってしまうからですが、170より下げないのは、自分にとって「その状態が調子良く感じられるから」です。
なぜ血圧170で調子が良いのか。あくまでも私の場合ですが、実は血管年齢が「90歳」と指摘されるくらい動脈硬化が進んでいます。そのため、血圧を高めに保っておかないと、十分な酸素や栄養素が脳にまで行き渡らないからだと考えています。
「血管年齢90歳」こそ心配だと思われるかもしれませんが、心臓ドックで調べた結果、冠動脈の狭窄は起こっていないので、今のところは心筋梗塞のリスクは高くないと判断しています。だからコレステロール値を下げる薬も飲んでいません。将来、冠動脈に狭窄が見つかれば、その時はステントやバルーンなどで治療するつもりです。
通常、医師はそうした持病などがある患者に対しては、様々な数値を「正常値」まで下げたがるものです。それは、将来の様々な病気の発症リスクを下げるためという大義名分の下に行われる医療の現実です。
しかし、私が皆さんに知っていただきたいと強く思うのは、血圧であろうが、コレステロール値であろうが、血糖値であろうが、それらの数値を薬で下げた群と下げない群で、5年後や10年後の死亡率がどう変わるかを調べた国内の大規模比較調査が「一つもない」ことです。