小林:2話で登場人物の内面に視聴者が寄っていくのと同時に視点が切り替わるというのは最初から狙っていました。元々は第1話のエンディングでカメラがテレビ画面から引いていくカットがあるので、そこで(ドラマ形式へと)開いたつもりだったんだけど、それはあまり効かなかった。あと、カメラアングルの考え方としては、ドキュメンタリー的ではないカメラアングルは「街」の視点だというつもりで撮っていました。
針谷:実は最初と最後に出てくるナビゲーターの高嶋政宏さんも“街”による擬態で、“街”が自分の生誕について語っていたという設定で。
小林:高嶋さんのラストが撮れて、ああ、これまでの3話を全部背負えるなって思いました。
主人公は「都市型生物保護機構」の保護官。第1話は「E604」と呼ばれる街を調査・観察する保護官・高城準。第2話は「N507」を担当する辻みさき。前者を演じたのが子役時代から豊富な実績のある広田亮平。後者を演じたのは現在放送中の『ブギウギ』(NHK)でも主人公の同期・桜庭和希役に起用された片山友希だ。
フェイクドキュメンタリーは、通常のドラマのようにセリフをしっかり書かず、要点だけを伝えて演じさせることが多いが、本作の場合はVFXを多用するため、しっかりとセリフの書かれた台本を作っている。
小林:文字に起こすとほぼほぼ脚本どおりなんですけど、主役の二人がさすがうまくて、しっかり体重と味を乗っけてくれました! うまいし、ノリノリだし。
針谷:僕はディレクター役もやっていたので、広田さんとコミュニケーションを取っていましたが、僕らよりちゃんと考えてくれていて“街”が生成したばかりの壁を触って「まだ温かい」みたいなアドリブも入れてくれたり 。