「おいしい」「ありがとう」感動は作り手に伝えたい
世界各地の人々の懐に飛び込み、共に歌い踊ってきた山口。そのコミュニケーション能力はどうやって培ったのだろうか?
「この世界の美しさを感じたい、学びたい、共に喜び合いたいから、素直な気持ちでお邪魔するだけです。言語の違いを超えて、さまざまな土地で奏でられる音楽のリズムに乗って体を揺らせば、一瞬で共感し合える。セルビアのロマ(インド北部を起源とする少数民族グループ)の村を訪れたときも、私が曲に合わせて踊り出したら、『夕飯食べてけ!』と、村中が歓待してくれました(笑い)」
わかっていても、旅先ではもちろん、日常生活でも知らない人と打ち解けることにためらってしまう日本人は多いだろう。山口にそう吐露すると、
「二度と巡ってこないかもしれない出会いに、尻込みするなんてもったいない! 『うれしい、楽しい、ありがとう』と感じたら、その気持ちを伝え合うことで、喜びや幸せってどんどん広がると思います。ハッピーの波動は100億倍になって自分に返ってくるはず。
例えば外で食事するときも、『おいしい』『ありがとう』という感動は、ちゃんと作り手に伝えたいと思っています。
夫は私が料理に失敗したときでも、『まあ、“普通に”おいしいよ』と、何か言ってくれることで、私は心救われていますから。“普通って、おいしい? おいしくない? どっち?”と思うけど(笑い)」
さまざまな国を旅してきた山口。「死ぬかと思った!」という怖い経験はなかったのだろうか。
「ないです。お陰さまで。感情のまま突っ走るタイプに見られるのですが、旅に出るときはあらゆる可能性を考え危険を回避すべく準備をします。自分自身と同行者を守りながら安全に帰ってくる責任がありますから。旅はサバイバルの実践と学びの場です」
と、またしても意外な答えが返ってきた。