〈山梨実験線を延伸・完成させるのが先〉は「事実誤認」
川勝知事は、自身がこれまで問題提起してきた南アルプスの水量、水質、生態系などのモニタリングを先走ってやるよりは、「実験線を延伸・完成させて営業線とするのが先ではないか」と発言している。しかし、JR東海側は、知事が発言の根拠としているのは2010年の資料で、当時はまだ実験線の建設途中だったが、2013年にすでに延伸・完成していると反論した。知事は実験線を営業線にすることを「延伸・完成」と解釈しているので、これは明らかに事実誤認である。
「JR東海と静岡県の事務方の間では、意思の疎通ができているようですが、なぜか川勝知事には事実誤認の発言が多い。事務方から報告がないのか、あるいは、報告されても無視して、思いつきでしゃべっているのか。おそらくは後者だと思います」(須田氏)
29日の定例会見で、記者から実験線の事実誤認について問われると、川勝知事は「変電所が1つ足りないのに完成したことになっている。変電所を1つ作れば、品川から甲府までが完成し営業運転ができる」と、意味不明な回答をし、「事実誤認ではない」と強弁した。
〈工事ヤードができていない〉は「知事の管轄外」
この発言も、JR東海側の神経を逆なでしただろう。川勝知事は「先走ったモニタリングの前に、工事ヤードがそもそもできなければ、船ができてないのに寄港地の研究してるようなものですよ」と述べている。工事ヤードの整備をしないJR東海は、工事をやる気がないと言わんばかりだが、実は、トンネル工事の工事ヤード整備を許可していないのは他ならぬ静岡県である。
この件も定例会見で記者に問われたが、川勝知事は「工事ヤードには2つあり、トンネルを掘削するためのヤードではなく、活動拠点として使うヤードのことを言った。活動拠点のヤードはすでに整備されているが、数年前の豪雨で流されて、そのまま放置されている」と答えている。
「活動拠点の工事ヤードというのは、県ではなく、静岡市とJR東海が環境保全のために整備を進めている案件で、そもそも県には関係ない。また、水害で流されて当初の予定より遅れたのは事実ですが、着々と工事は進んでいてほぼ完成しています。流されたまま放置などされていません」(須田氏)
知事が口出しする案件ではないうえ、情報のアップデートもされていないという。