沢田といえば、ファンを前にすると、本音を炸裂させることでも知られ、ライブではたびたび歯に衣着せぬ発言を繰り出し、注目を集めていた。たとえば、昨年刊行された彼の活動の軌跡を追ったノンフィクション『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』(文藝春秋)については、「あれは勝手に書いてるんや!」と吐露したことも。
「本は関係者への取材をもとに構成されていますが、その取材に応じた関係者については『よかれと思って答えたのだろうが、心ある人は断っている』と苦言を呈していましたね」(芸能関係者)
また、前述の昨年6月に行われたバースデーライブでは、2024年の秋にマイナンバーカードと保険証が一体化され、紙の保険証が廃止になる予定であることを受けて、「保険証だけは残してほしい」と憤りを吐き出した。当時、マイナカードはトラブルが相次ぎ、世間に不信感が広がっていたため、国民の声を代弁したということなのだろう。
「切れ味鋭いMCはジュリーの持ち味のひとつです。それだけに、今回の弱気な発言には驚いてしまった。あのジュリーでも寄る年波には勝てないということなのでしょうか。ほかの観客もショックを受けていたようで、会場にざわめきが広がっていました」(前出・60代女性のファン)
「80才への不安」を吐露
冒頭のシーンに戻ろう。ライブを振り返って、「ボロボロや」と反省を口にした沢田は、さらにこうもつぶやいた。
「今年も元気にやろうと思っていました。でも、現実は厳しい。80まで(ライブを)やるとか言ってたけど、これだとなぁ……」。正月ライブでは5年後に迫る80才への不安も吐露した沢田。
「確かに、弱気な発言もありましたが、沢田さんの人気の理由は、年を重ねることを躊躇なく楽しんでいる点にもあるように思います。昔の美少年のイメージとは一転、ふくよかになったことも、白髪になったことも隠さず、舞台に立ち続けていることでファンは元気をもらっている。
今回、彼が難聴や視力の低下を告白したのも、そういった抗うことができない自身の変化をファンに隠したくないという思いがあったのでしょう」(前出・芸能関係者)
過去にはライブを当日にドタキャンするなど奔放なふるまいもあった沢田。近年でも、ファンクラブの突然の解散やコロナ禍によるツアーの中止などが相次ぎ、「このまま引退するのでは」などと報じられたこともあった。それでもファンは沢田を信じてついてきた。
いつ何が起こるかは誰にもわからないという覚悟は、沢田自身にもファンにもあるだろう。それでもファンは、年齢に負けず、ありったけの情熱を込めて歌う沢田に大きなパワーをもらっていることも、また事実なのだ。
※女性セブン2024年2月22日号