その目的は、主にロケ地めぐりの観光客誘致、地元産業の活性化、地元住民のモチベーションアップの3点。今冬のドラマでも「すでにロケ地めぐりの観光客対応を進めている」という自治体は多く、地域活性化の切り札として考え、ブランディングにつなげようという動きが見られます。
一方、制作サイドにとっては、「万全の体制で受け入れてもらえる」ことも遠方ロケが行われる理由の1つ。たとえば、「こういうロケーションはないですか?」と希望したら、すぐにいくつかの候補を提示される。撮影の際に地元住民のエキストラを手配してもらえる。撮影現場でキャストやスタッフに地元の名産を振る舞われる。宿や食事、道案内などのリサーチが不要になる。
実際、『君が心をくれたから』は、撮影に使われた長崎県立長崎東高等学校の生徒70人がエキストラとして参加するなど、制作サイドを助け、作品のクオリティアップに貢献していました。ちなみに同作の第1話は地元・長崎で個人全体18.1%、世帯22.6%の高視聴率を獲得。放送の時点から地元活性化につながっている様子がうかがえますし、今後はロケ地めぐりの観光客を誘致していくのでしょう。
今後も自治体の受け入れ態勢がさらに整っていけば、遠方ロケは増えていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。