陳謝する自民党和歌山県連の川畑哲哉県議。2024年3月11日午後、和歌山県庁(時事通信フォト)

陳謝する自民党和歌山県連の川畑哲哉県議。2024年3月11日午後、和歌山県庁(時事通信フォト)

 ここ数年、政府でも企業でも、何かにつけて多様性やダイバーシティという用語が使われてきた。過激ショーを企画するためのコンセプトとして使ったのも、周りが専門用語を使っているから、自分も使ってみようという感覚だったのか、女性ダンサーを呼んだ理由として適当な説明が見つからず、使い勝手がよさそうだからと用いたのかはわからない。懇親会に参加した自民党の議員らがはしゃいでいた、喜んでいた、笑っていたとメディアで報じられ始めたが、多様性やダイバーシティをどう考えていたのだろう。

 専門用語を使う人は、自分はできるヤツ、物知りだと思わせたいというのは、世間的によく言われるところだが、よくわからない専門用語を使う人は、自分のステータスを上げたいのだという研究結果がある。多様性をはき違えている川畑氏は、その一人だったのだろうか。

 中身が意味不明でも専門用語があるだけで、説得力が増したような気がするという心理的傾向に「ジンクピリチオン効果」がある。また説明文などの中に数字を沢山使ったり、難しい数式を使えば、それが正当化されたり、価値があるように思わせたりできるという「ナンセンスな数式効果」というバイアスもある。川畑氏にとって多様性やダイバーシティは、この効果でいう数式と同じような役割を果たしていた気がする。専門用語を使ったことで、女性ダンサーのショーが企画に適う意味あるものと世間に思わせたかったのだろう。。どこでどんな言葉を使うのか、どのような言い回しをするのか。本来なら政治家こそが気を付けるべきものだろうが、最近はずいぶん等閑になっているようだ。

 会合に出席していた自民党青年局の藤原崇局長は、報道陣に「女性の体を触っていないか」と問われ、真面目な面持ちで「今の認識では触っていないです」と返答。再度、触っているのかと聞かれると、「触っていないです」と答えながら表情がわずかに緩んでいく。目尻が下がってしまい、苦笑いというより思い出し笑いのようなにやけた表情に見えてしまったのだ。この質問のタイミングに出たニヤニヤ笑いと、しどろもどろになってしまった受け答え、視聴者への印象は悪かった。

「私の内閣が目指す多様性とは全く合致しない」と岸田首相に言われてしまった川畑氏は自民党を離党し、藤原氏は役職を辞任した。さて、次はどんな問題が明らかになるのだろうか。

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