シリーズの累計発行部数は 2000万部を突破

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SNSの普及に思うこと

 本質は変わらなくとも、取り巻く環境は変わった。宗田さんはSNSの普及や新型コロナの影響を憂慮している。

「SNSが普及して子どもの世界は格段に広がりましたが、同時にやっかいごとも増えたように思います。

 たとえば、昔はいじめっ子といじめられっ子が特定できたのが、今は相手の顔が見えず、いつの間にか自分が標的になっていたりする。失敗すれば、顔も知らない人がそれをあげつらって、一斉に叩いたりする。これでは、子どもは萎縮してしまう。決して目立たぬように、と神経をとがらせるかもしれません。

 昨今は、地震や異常気象が引き起こす災害や、他国の戦争など憂慮することばかり。子どもたちは今の時代に不安を感じているのではないでしょうか。新型コロナで行動制限があった影響などもあり、生きづらさがあるように感じます」

 そんな子どもたちに、大人はどう対するのが良いのか。悩んでいる親も多い。

「親はちょっと子どもを突き放し、放っておいて自由にさせることも必要だと感じます。昔のような怖い大人や悪い先生というのも、場合によっては子どもの成長にとって必要。学校や家庭で守られ過ぎているよりも、世の中にはワルがいることを、子どもの頃から知っていたほうがいいのでは、と思います。

 それにしても、今の大人は本当におもしろくなくなりました。くだらない喧嘩ばかりして、戦争をやめない。人間はどんなに技術が進歩しても、他人より多くを手に入れたい、強くなりたい、美しくなりたい、裕福になりたい、という欲望を止められない。その欲望のままに生きていると、戦争になっちゃうんですよ。恐竜が滅びたように、人類も遠い未来に滅びるときがくるでしょうが、それより前に戦争で滅びるのではないか、と危惧しています。太平洋戦争を経験して、特に子どもたちを苦しめる戦争には、絶対に反対です」

 戦争や地震・水害などの災害の恐ろしさをもっと書かなければいけない──宗田さんの執念を感じた。

 そして、いつの時代も消えないワルとどう向き合うか。宗田さんは『ぼくら~』シリーズの英治らに思いを託している。

第3回に続く第1回から読む

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