国内

企業は大卒でなく高卒採用で「4年間の丁稚奉公を」と大前氏

大学の数が増え、学生の質の低下が叫ばれているが、これから企業は学生をどういった方針で採用すればいいのか。大前研一氏が提案する。

* * *
大学受験シーズンを迎え、私が受験生にアドバイスをするとしたら、大学は偏差値や知名度ではなく、実務を教えてくれるかどうかで選べ、ということだ。

この国を出ても役に立つ実務、海外で活躍できる職能少なくとも「語学」「IT」「財務」は必須のスキルだし、リーダーシップや世界の政治経済の動きを肌で知ることも重要を徹底的に教えてくれる大学に入らなかったら、4年後の就職活動は地獄だと思う。

なぜなら、現在の就職ミスマッチが改善される見込みはないので、企業はさらに外国人採用を拡大せざるをえなくなり、日本の大学生の就職氷河期は年々厳しくなると思われるからだ。もしかすると、就職率は毎年10%ずつ落ちていくかもしれない。つまり、4年後は40%になっても不思議ではないのである。

この問題の根本的な解決策として私が日本企業に提案したいのは「丁稚奉公」の復活だ。大学新卒者ではなく高校新卒者を採用して4年間預かり、昔の丁稚のようにOJT(On the Job Training/職場内教育)で海外赴任も含めて実務を経験させながら、企業が求めている人材に鍛え上げるのだ。

その間の給料は、親が大学の授業料と思って負担するか、企業が奨学金を出すかたちにすればよいだろう。

そして4年後に丁稚奉公が終わったら、そのまま勤めることも可能だし、他の企業に就職することもできるという契約を結んでおき、どんな仕事を経験したかを証明するトレーニングの「修了証書」を発行する。それがトヨタ自動車やパナソニック、ソニーなど日本を代表する企業のものだったら、世界中の企業が採用してくれるだろう。

その結果、どの企業で丁稚奉公したら最も就職に有利か、という競争が始まる。各企業は、役に立たない大学新卒者を採用するより、高校新卒者を自社が必要としている人材に養成していこう、そこにお金をかけてカリキュラムを充実させよう、と考えるはずだ。

要は、企業が大学の代わりに教育するわけだが、今後も日本の若者を雇用していくとすれば、この方向に採用・教育システムを変えるしか、グローバル化に対応する道はないと思うのである。

※SAPIO2011年2月9日・16日号

関連キーワード

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン