国内

「規制仕分け」目前の民主党 初事業仕分けの頃は輝いていた

 もはや「政治主導」という言葉が空虚に感じられるようになったが、民主党は政権を担う以上、国民との約束を果たすべくその精神を堅持しなくてはならない。それを示すために、規制改革への踏み込みは重要な判断基準となる。3月に予定されている「規制仕分け」は、果たして期待できるものなのか、ジャーナリストの黒岩祐治氏が検証する。

 * * *
 今から思えば政権交代を成し遂げ、初の事業仕分けに取り組んでいた頃の民主党は輝いていた。公開の場で予算がザクザク削られていく様は、新しい政治を実感させた。脱官僚依存、透明性とはこういうことかと多くの国民は喝采を送ったものである。

 しかし、あれ以降、残念ながら政権交代の醍醐味を感じさせてもらったことは一度もない。そんな中、青息吐息の菅政権の起死回生策として行なわれようとしているのが、3月6日、7日に開かれる規制仕分けである。

 民主党は仕分けという言葉にいまだに幻想を持っているのか。困った時の仕分け頼みなのかもしれないが、はたして2匹目のどじょうはいるのだろうか? そもそも規制仕分けとはいったい何なのか?

 私は行政刷新会議の規制・制度改革分科会のメンバーであり、いわば今回のプロジェクトの一員でもあるが、規制改革が仕分けの土俵に乗せられることに違和感を禁じ得ない。なぜなら、規制改革は仕分けるべきものではなく、実行に移すかどうか、政権を担った者の決意と覚悟の問題だと思うからである。

 先日完成した中間とりまとめは250項目にも及ぶ膨大なものである。正直言って、分科会として十分に議論した結果ではない項目もたくさん含まれている。

 それを絞り込む作業が仕分けかと思うとそうではない。事前に10数件を選び出し、仕分け作業として一件につき2時間ずつ公開で議論をするのだという。事業仕分けのようにその場で結論は出さず、あくまで外部性、公開性をアピールしたいとのことである。

 250項目から10数件を選びだす作業は政務三役が行なうという。どういう基準で選びだすのか、外部性、公開性というわりには、肝心の作業が非公開なのは釈然としない。何を選ぶかによって大きく変わるが、規制改革にはもともと今すぐに実現に向けて動き出すべき項目がたくさんあった。

 それらに手をつけることもなく、項目を膨らませるだけ膨らませておいて後で仕分けるというのは、理解に苦しむのである。

※週刊ポスト2011年3月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン