ライフ

流刑後も平然と布教した法然 妻子を持ち肉を食した親鸞

 法然上人八百回忌、親鸞聖人七百五十回忌を迎える今年、東京上野の国立博物館では史上初となる合同展が行われる。

 動乱の時代、阿弥陀を信じ念仏を唱えればすべての人が救われる、と説いた浄土宗の祖、法然。その法然を師と仰ぎながらも俗世におりて妻帯し、肉を食し、浄土真宗を開いた親鸞。このふたりの人物像とは?

【法然の人物像とは?】
 幼くして父親が夜討ちにより殺害された法然は、早くから非凡な才能を認められ比叡山随一の学僧のもとで修学していたが、名誉や権力のための僧業を離れ、長く隠遁して求道生活を送った。悟りの境地を得て下山したのは49才のとき。質素な草庵で弟子たちと共同生活を送りながら、「専修念仏」の教えを名もなき庶民、女性にも分け隔てなく説き、戦で疲弊した武士や貴族にも帰依者が増えていった。

 当時の支配階級にとっては、危険な新興宗教と捉えられ、法然は弟子の親鸞らと共に流刑に処せられたが、法然は平然として配流中も布教を続けたという。

【親鸞の人物像とは?】
 9才から20年間、比叡山で学問を追究してもなお道を見出せずにいた親鸞は、法然との出会いで進むべき道を定める。流罪を機に非僧非俗(俗人でもないが僧でもない)という立場と、自らも煩悩や愛欲にまみれた存在という自覚を持って、だからこそ阿弥陀仏に帰依すれば救われることを広く衆生に身をもって示す生き方を選んだ。妻子を持ち肉を食したことでも有名だ。人間という存在を掘り下げ、極楽浄土の本質的な意味を追究した思想家であったともいえる。

●法然上人八百回忌・親鸞聖人七百五十回忌 特別展『法然と親鸞 ゆかりの名宝』
 法然八百回忌と親鸞七百五十回忌を機に、史上初めての合同展を開催。普段目にすることのできない国宝や重要文化財の御影や肉筆の著作、伝記絵などゆかりの名宝を一堂に集め、ふたりの全体像を紹介。2011年は、法然、親鸞それぞれにまつわる展覧会等が予定されている中でも、集大成といえる規模の特別展は必見。

<会場>東京国立博物館 平成館(上野公園)
<会期>平成23年10月25日(火)~12月4日(日)
    休館日:毎週月曜日
※開閉館時間が期間により違います。事前に確認してください。
<公式HP>http://www.honen-shinran.com/
<主催>東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社

※女性セブン2011年6月2日号

関連キーワード

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン