関連書籍やバックナンバーの他にグッズ販売も
――国会議事堂前駅の販売店を開設して、こちらの反響は?
「元々の読者の方が買ってくれるケースも多いですが、店舗を見かけて『気になっていたんで、買いに来ました』という新規購入の方もいて、そういった人が増えてくれるのを期待しています」(長崎さん)
――開設直後は台風の影響などで雨が降ったが、こういう場所なら雨の日でも……。
「はい。販売者にとって天候に左右されずに毎日働けるというのは、大きなメリットです。平日8:00~19:00だけですが固定スペースなので、バックナンバーを置けるのも助かります。路上販売では“200冊の在庫を持って歩く”なんてことは、不可能ですから。
それに通常ですとある程度場所が決まっているとはいえ、天候や状況により販売員がいないこともあります。購入者にとっても“ここに行けば買える”というのは、手に取っていただきやすくなると考えています」(長崎さん)
――通常はハリウッド俳優や外国人ミュージシャンの表紙が多いが、どういった購入層か?
「ジョニー・デップが表紙だった号は、完売しましたね。(笑い)そういった号はいろんな層の方が買ってくださいますけど、媒体の特性から普段は社会問題などに興味のある方が多いように感じます」(長崎さん)
――ボディショップの関わりなど、若い女性に興味を持ってもらえる要素も多いと思うが?
「広告出稿や読者プレゼントの提供など、日本でもボディショップは『ビッグイシュー』をバックアップしてくれています。
エンターテイメントの要素もありますし、読み物として楽しめる誌面なので、ぜひ幅広い人に読んでもらいたいですね」(佐野さん)
――こちらの174号は、いつもと異なる表紙の雰囲気だが?
「この号は『ビッグイシュー日本版』創刊8周年の記念号なんです。
永井一史さんがデザインしてくれたこの屋根の形のロゴは“ビッグルーフ”といって、東日本大震災以来の被災地への関わりや販売者の想いなどが込められています」(長崎さん)
全国にサポート組織や支援団体のあるビッグイッシュー。仙台でサポートをしている外部の支援団体担当者が震災後、「がんばろうが街に溢れているが、もうこれ以上がんばれない……」と言ったという。また現地で活動するスタッフは、通常ホームレスを対象にしている炊き出しを一般の被災者に実施――などもあり、被災地への関わりにおいて一般の人やホームレスなどといった隔てのないメッセージとして、「ともに生きよう!」をテーマに据えた。
さまざまな立場の人が「ともに生きる」場所としての屋根の下は、販売者であるホームレスにとって「安心して暮らせる」場所の象徴でもある。
今回スタートした国会議事堂前駅での店舗は、12月27日までの期間限定。今後の拡大展開などについては、未定だという。