アルミニウムのドットが静電気の滞留を防ぐ
節電やECO――とはいえ今年の冬も、人間の省エネ意識なんてお構いなしに寒い! 夏と同様、エアコンの設定温度を1度控えるだけで効果はあるものの、がまんしすぎては風邪を引いてしまう。そんな時は着込めばいいわけだが、“暑い時に脱ぐ”より限界値は高いが、それでも“寒い時に重ね着する”だって限界はある――ということで、取り入れたいのは機能性素材を使った衣類だ。
今やメーカー各社やPB(プライベートブランド)など、幅広い価格帯で多くのアイテムが出ているが、機能性素材のニューアイテムで気になったのはアメリカのアウトドアスポーツウェアメーカー、コロンビアの「オムニヒート」。
現在、多く用いられている機能性素材は「吸湿発熱」のタイプで、人の身体から発せられた水蒸気が繊維に吸着した時に、それを水に変える変換エネルギーにより熱を発する。水蒸気を熱に変えることから、肌に直接身につけるアイテムが中心だ。
一方この「オムニヒート」の仕組みは「熱反射保温」で、アルミニウムをドットパターン状にプリントした裏地が、身体から発した熱を反射しながら蓄える“保温性”が特徴。さらに、スポーツウェアに多い、汗を吸収して素早く乾く「吸湿速乾」機能もある。ラインナップを見るとアンダーウェア(シャツ・タイツ)だけでなく、ジャケットやベストほか、多くのアイテムに使われているようだ。
プリントとはいえ「アルミニウムを着るって……どういうこと?」というわけで、実際にシャツとタイツ、ジャケットを着てみることに。商品を手に取ってみると、いずれも裏側にみっちりシルバードットのアルミニウムがプリントされており、イメージに反して滑らかな肌触り、そして“金属”な感じはゼロ。
アンダーウェアを着た上にジーンズとジャケットを着てみる……が、いかんせん部屋の中では“普通に温かい”状態のため、勇気を出して記者は夜のベランダへ――思わず「寒っ!」と口からこぼれるも、外気の下がり具合に対して、意外と身体が冷える感じがしない。「さすが冬仕様のスポーツウェア」とつぶやきつつ、通りや夜空を眺めたり、せっかくなのでベランダを片づけてみたりする。
冬の夜のベランダに滞在すること約30分。部屋に戻るべくサッシに手をかけようとした瞬間に頭をよぎった“イヤな予感”が裏切られた――乾燥による静電気の“パチッ”がない! これはアルミニウムによる効果が保温だけでなく、金属素材を身につけていることで積極的に放電を促し、静電気が滞留するのを防ぐらしい。
低価格のナイロン製ダウンやウィンドブレーカーなど、風を通すのは防いでくれるものの、脱ぎ着するだけでもパチパチしまくり、寒さの次くらいにウンザリするところ。静電気がヒドイ記者にとって、このウンザリから解放してくれる機能は個人的に“ツボ”である。
朝起きようとして、布団の温かさから離れがたい冬。さらに寒さ対策で、着込みすぎると動きにくさから「こんなんだったら、いっそもう布団に入っちゃってもいいんでは?」と、つい高まってしまうグータラ気分の誘惑……。とはいえ、年の瀬は忙しい。自分に合った機能性素材やファッションで、冬をアクティブにすごす方法を見つけたい。