泉房穂氏(左)の「潜水艦作戦」は立花孝志候補を避けるため?
有権者はどの党に、どの候補者に一票を投じるのか。最終盤まで接戦が続く参院選では、当落線上の崖っぷち候補者らがバッジを争って“何でもあり”の選挙戦を繰り広げている。全国屈指の激戦区、兵庫(改選定数3)で異例の選挙戦を展開するのが前明石市長の泉房穂氏だ。
新聞・テレビの情勢調査では「当選が有力」と見られているが、公示後第一声を瀬戸内海に浮かぶ人口約20人の男鹿島であげた後、メディアにも遊説先を一切知らせない異例の選挙戦を展開しているのだ。
神戸市の繁華街・元町商店街に置いたガラス張りの泉氏の選挙事務所内には、「情熱ライブスタジオ」なる設備が設けられ、ライブ中継できるようになっているが、いつも準備中で候補が事務所に姿を見せることはない。全国紙記者が言う。
「泉さんは街頭演説の予定を県政記者クラブに事前通知することになっていたが、選挙戦2日目に告知しないと言ってきた。本人は自身のXで毎日街宣活動の様子を報告しており、たとえば7月9日は宝塚市からスタートして午前は伊丹市で街宣、われわれ記者たちは順当なら午後は周辺の市を回るだろうと探していたら、夕方のXでは明石海峡大橋を渡って80キロ離れた淡路島にいた。ある場所にいたと思うと、潜行した後に次は予想もしていなかった場所に浮上するから、記者も捕まえることができない。潜水艦のような動き方ですよ」
「潜水艦選挙」の理由は、どうやらNHK党から兵庫選挙区で出馬して泉氏を激しく批判する立花孝志候補の“追っ掛け街宣”を避けるためらしい。
泉氏には「どこかで会えればラッキー」
昨年11月の兵庫県知事選では出直し選となった斉藤元彦氏の後をついて回って擁護する“2馬力選挙”を展開した立花氏。今回は、泉氏の政見放送の音声と明石市長時代の失言音声を街頭演説で交互に流すなどまたも独特な選挙戦を展開する。本誌の取材に立花氏は、「大事なのは政策や公約を実行する実行力。そういうプロセスから逃げる人は言うだけで実行する政治家ではない。その最たる例が泉さんですよね」と勢いよく言い放った。
この攻勢の直撃を避けようと街宣先を明かさないのか。泉陣営のスタッフに聞いた。
──どこか街宣先で泉候補に取材したい。
「いまは、(具体的な)予定などはしていなくて、どこかで会えればラッキーという感じですね」
──立花候補対策なのか。
「違います。理由はそれではないです。立ち合い演説より、ひとりひとりとの対話をしたい。それが泉のやりたいことですから。商店街などを歩き、人が多く集まっている場所でマイクを持つ。現場で予定を急に変更しているので、事務所でも完全に把握できていません」
次に浮上するのはいつ、どこなのか。