国内

就活のコネ 様々なレベルがありコネ入社ブロック社員も存在

就活で必ず囁かれるのが取引関係や親の力を利用した「コネ入社」。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、その実態について語る。

* * *   
学歴差別、男女差別、内定辞退時の拘束などに並び、就活生の間で毎年話題になるのは、コネ入社です。毎年、「私がこんなに苦労しているのに、コネ入社なんて、あり得ない!」など、炎上を誘発します。

そういえば、ある大学で行われOB・OG交流会に参加した大手広告代理店勤務の女性は、学生から何度も「コネ入社ってあるんですか?」と聞かれ、苦笑したとか。90年代前半、就職氷河期と言われ始めた当時の雑誌に、旅行代理店の企業説明会の様子が載っていたのですが、その時のエピソードが面白い。

「募集人数は20名なのですが、紹介などで半分は決まっているので実質10人です」と人事が説明しているわけですよ。それってコネじゃないですか。でも、学生たちはただため息をつくだけだったとか。今なら大炎上必至ですよね。

さて、このコネ入社ですが、結論から言うと、ありますよ。会社によりますけど。今回は、コネ入社があるという前提で、それがいかに多様であるかについて、コネ入社経験の求職者、対応した人事担当者、同僚にコネ入社がいる社員の証言を元にお届けしたいと思います。

いつもコネ入社は存在するか否かばかりが話題になるのですけど、コネにも様々なレベルがあるようです。ある有名企業の人事担当者はこう言います。「取引先のキーマンの子供など、“人質”にするために必ず採用しなければならない人から、企業説明会の予約を取りやすくする、書類選考だけは通す、ある段階までの面接まで通して判断は面接官に委ねるなど、コネにもレベル差があります」なるほど、「コネ入社にもレベルがある」とは目からウロコですね。

さらに、こんな証言も。「実は、コネ入社だということを就活生自身が知らないこともあるのですよ。親が頼んできて、子供には内緒にしてほしい、と。ただ、本人も選考途中で周りとのレベル差から薄々気づくようですが」

もちろん、コネ入社を絶対に許さない企業があります。そんな企業には、コネ入社ブロック要員がいることも。ある大手企業で人事部長を務めていた方が教えてくれました。「営業部長などが取引先から頼まれて、コネ入社の依頼がきたが、全力で潰していた。部下にコネ入社ブロック要員がいて、取り敢えず会って面談して、ウチがいかに厳しいかを伝えて、辞退してもらっていた」まさにコネ入社対策のヒットマン・・・。就活界にもゴルゴ13、デューク東郷みたいな人がいるわけですな。

コネ入社ではないですが、総合商社、地方銀行などでは「社員の家族は原則採用しない」という方針の企業は存在します。私も何度、学生から「○○に入りたいのですけど、親が行っているので無理なんですよ」という相談を受けたことか。

では、コネ入社社員は入社後、どうなんでしょう。同僚にコネ入社がいる若手社員に聞いてみました。「人事部は、事業部長や一部の人にしかコネ入社であることを明かしません。ただ、名前でバレますね。明らかに取引先や著名人の苗字と一緒、とか」さらに、こう続けました。「でも、コネ入社の社員は、ある意味サラブレッドなわけで、さすがと思うこともありますよ」なるほど、コネ入社と言うといかにもバカそうなボンボンが入ってくるという印象でしたが、そういう評価もされるわけですね。

コネ入社には覚悟も必要です。大学の同期で何人かコネ入社した友人がいたのですが、「教授のコネなので絶対に断れない。普通に何社か受けないか悩んでいる」と相談を受けたことがありました。人の紹介である分、入社後の仕事にも覚悟、責任を意識してしまうことも。

まぁ、コネ入社は「それっていいのか?」「オレは頑張っているのに、奴ら楽勝で入りやがって。きー」となるわけなのですが、水面下で行われているので、抗議すらできません。採る側も入る側も責任が生じますし。互いの信頼で採用できるという意味では効率がよいとも言えます。ババを引かされることもあるわけですが。いちいち怒ってもしょうがないのが現実ですかね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン