国内

「死んだ方がマシ」と思っていた被災者 天皇陛下に救われる

 東日本大震災の被災者、宮城県の菊地ふみ子さん(70才)は、昨年4月、天皇皇后両陛下が仙台市宮城野区の避難所を訪問された際、両陛下と直接言葉を交わし励まされたひとりだ。菊地さんはこう語る。

「私の主人は50才のときに、天皇陛下と同じように心臓のバイパス手術を受け、約3か月間の入院生活を余儀なくされました。ところが陛下は、手術後すぐに退院され、しかも追悼式にまで出席してくださいました。でも、きっと陛下はご無理をなさっているはずです。もう少しゆっくりとお体を休めていただきたいという思いをどうにも打ち消すことができません。

 1年前、私たち被災者が身も心もボロボロになっているときに、陛下のお言葉でどれほど勇気づけられ、生きようという気持ちになったことか。あのお言葉があったからこそ苦しみを乗り越えられたのです」

 菊地さんの夫は、震災のショックで心の病に陥ってしまった。両陛下が避難所を慰問されたとき、夫は両陛下のお姿を見ても、ただ呆然と立っているだけだったという。

「おそらく陛下は主人の様子が変なことに気づかれたのでしょうね。“どうしました? どうしました? どうしました?”と、陛下は3回も繰り返して主人に声をかけられ、心配してくださいました」

 陛下に失礼と思い、菊地さんは事情を陛下にお話しした。すると陛下は幾度もうなずかれ、「それは大変でしたね。どうぞ、お体を大事になさって、頑張ってください」と、菊地さん夫婦をいたわられた。

「主人がこんな状態になって、正直、私自身も疲れ果ててしまい、一緒に死んだほうがマシだと思ったことがあったんです。でも、陛下の優しい笑顔とお言葉によって救われたんです」

※女性セブン2012年3月29日・4月5日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン