高度経済成長に沸く1965年、「20世紀最大の発見」といわれる古代エジプトの少年王ツタンカーメンの財宝が公開された。東京国立博物館での開催初日の午前9時には、激しい風雨にもかかわらず徹夜組も含め1200人もの行列ができた。その後巡回した京都と福岡を合わせた総入場者数295万人は、いまだに日本美術展史上最多記録として破られていない。
あの熱狂から47年、再び“黄金のツタンカーメン”が戻ってきた。現在大阪で開催中の「ツタンカーメン展」を監修する日本情報考古学会理事・廣田吉三郎氏はこう語る。
「前回の展覧会は、貴重な歴史的発見を伝えると同時に、遺跡の保護も目的のひとつで、ユネスコの最初の遺跡救済事業の一環でした。遺物の展示数でいえば、前回45点だったのに対して今回は122点、そのうち50点がツタンカーメンの王墓から出た副葬品です。日本初公開は約100点で、ツタンカーメンのものは45点。
注目の展示物はツタンカーメンの内臓が保管されていた器『黄金のカノポス』です。カノポスは47年前も日本に来ましたが、今回は別の内臓を納めたものです。
個人的に好きなのはツタンカーメンの半身像です。彩色された木製の像は、ツタンカーメンの衣服やアクセサリーを掛けるためのマネキンだったといわれています。在りし日のツタンカーメンの体型を伝えているのかもしれません」
今回の展覧会は、2004年にスイスのバーゼルを皮切りにニューヨーク、ロンドン、メルボルンを巡回、すでに1000万人以上の入場者を記録している。
【開催概要】
「ツタンカーメン展~黄金の秘宝と少年王の真実~」
■大阪 6月3日まで大阪天保山特設ギャラリーにて開催
【開館時間】10~18時(最終入場は17時まで)
■東京 8月4日~12月9日まで上野の森美術館にて開催
【開館時間】10~18時(最終入場は17時まで)
※詳細はhttp://kingtut.jp/まで
※週刊ポスト2012年4月13日号