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脱原発を株主提案する橋下市長 国政選挙で民意問う狙いあり

 橋下徹市長率いる大阪市は、6月の関西電力の株主総会において同社の原発11基の廃止を提案する方針を固めた。橋下市長の狙いとは何か。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。

 * * *
「もし仮に維新の会が国政選挙に打って出るようなことになれば、当然のことながら原子力発電所の廃止を訴えることになるはずだ」

 筆者の質問に対して、橋下徹大阪市長はきっぱりとこう答えた。去る3 月24日、橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」は、次期衆院選に向けた候補者の養成を目的とした「維新政治塾」をスタートさせた。この日の開講式に集まった塾生は、トータルで2025人。

「最終的にこの3分の1程度まで絞り込むことになるはず」(大阪維新の会関係者)

 そしてこの橋下氏の動きに神経を尖らせているのが電力業界だ。

 というのも、この開講式に先立つ3月18日、橋下氏率いる大阪市は、6月の関西電力の株主総会において同社の原発11基の廃止を提案する方針を固めたからだ。大阪市は関電の筆頭株主ではあるが、そうは言っても、大阪市の保有比率は約8.9%。現状では大阪市の提案が認められる可能性は極めて低い。だが、関電側からはこんな声が漏れてくる。

「怖いのは株主提案それ自体ではない。本当に怖いのは株主提案というメディアに注目される形で脱原発を打ち出したことだ」(関電社員)

 橋下氏はまだ態度を鮮明にはしていないが、冒頭に述べたような状況から考えても、次期衆院選に相当数の候補者を立てて来るであろうことは確実な情勢だ。

 実際、株主提案が否決されたくらいで引き下がる橋下氏ではない。彼のコメントからも明らかなように、国政選挙の場で、脱原発をめぐって民意を問おうというのだ。

 そして、このことで苦しい立場に追い込まれるのが、民主党や自民党といった既存大政党だ。両党ともこれまでの立場から脱原発を打ち出すわけにはいかない議員が多いからだ。

 橋下氏が脱原発を持ち出したのも、その辺に狙いがありそうだ。その意味で、株主提案はまたとない“宣伝”となるだろう。

※SAPIO2012年4月25日号

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