国内

石原都知事の「尖閣買う」発言 とりあえず言ってみること大切

 大人力コラムニスト・石原壮一郎氏の「ニュースから学ぶ大人力」。今回は石原慎太郎・東京都知事の「尖閣諸島を都が買う」という発言から、「とりあえず言ってみる」ことの大切さを学びます。

 * * *
 あの人騒がせな閣下が、またやってくれました。東京都知事の石原慎太郎氏が、4月16日、訪問中のワシントンで講演して「東京都が尖閣諸島を買う!」とぶち上げたのです。所有者とは、すでに基本的な合意に達しているとか。「東京が尖閣を守る。どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守る」と、相変わらず意気軒高です。

 尖閣諸島は日本政府は「もちろん日本の領土です」という立場ですが、中国や台湾も領有権を主張していて、騒動や議論を巻き起こし続けてきました。ま、それぞれに言い分はあるのでしょう。これまで日本政府は、一貫して「面倒だから曖昧にしておこう」という姿勢でしたが、今回の石原知事の発言をきっかけに、野田総理が「国が購入を検討してもいい」みたいなことを言い出すなど、いきなりバタバタとあわてています。

 きっと石原知事としても、いろんな狙いや思惑があっての発言でしょうけど、そのあたりはさておき、わかりやすく見せつけてくれたのが「とりあえず言ってみる」ことの大切さ。石原知事は自分のお金で買うと言ったわけではなく、いわば都民の税金という人の褌を勝手に借りてケンカを買い、威勢の良さを示したという図式です。

 そもそも東京都がそういうことにしゃしゃり出ていいかどうかも、よくわかりません。しかし、何はさておき「オレにまかせろ!」と言い出したことで、腰が重かった国を動かしました。知事のそんなやり方は、一部には批判もありますが、それ以上に喝采を浴びています。

 大人としては石原知事に学びつつ、とりあえず言ってみることで、こう着状態を打ち破ったり喝采を浴びたりしたところ。たとえば営業部の同僚が「企画部のヤツらが、営業部の仕事にあれこれ口出ししてくる」といった縄張り争いの愚痴をこぼしてきたとします。そんなときは「よし、オレにまかせろ! 営業部と企画部を合体させればすべて解決だよ」と答えましょう。

 そんな力はまったくなくてもかまいません。相手は、なかなか頼もしいことを言ってくれると感心しつつ、やっぱり愚痴言ってないで自分で動かないと仕方ないなと気づいてくれるはずです。

 あるいは、美乳と巨乳、お尻と太もも、微熟女と熟女など、境界線が曖昧なものは世の中にたくさんあります。酒の席で「境界線はどこだ!?」という議論になったときは、とりあえず「オレにまかせろ!」と宣言しましょう。さらに、力強い口調で「女性を100人集めてくるから、その上で議論しよう」と提案します。そんなことはできるわけないし、したところで意味はありません。しかし、夢がふくらんで楽しい気持ちにはなれます。

 さあ、あなたも今日から、いろんな場面で「とりあえず言ってみる」というスタイルを心がけましょう。いつしか「ああ、またあの人か」とみんなに呆れてもらえる境地にたどり着けたら、もう怖いものはありません。まさに石原知事のように。

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト