みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、火葬時の東西の違いと、遺骨の中の金属売却について解説する。
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日本の東と西では、火葬時に大きな違いがある。火葬時の骨上げの際に、全ての遺骨を骨壺に収める東日本の「全収骨」。一方、西日本は、喉仏を中心に骨の一部だけを収める「部分収骨」。
東日本の人にとって最大の関心事、骨壺に入らなかった骨はその後どうなっちゃうの? という疑問の答えだが、これは共同墓地などに合葬されたり、火葬場を運営する自治体が、専門の処理業者に委託して埋葬しているようだ。
ま、そんなトコだろうと思っていたが、さらに調べてみた。骨壺に入らなかった遺骨を「残骨灰」というが、福岡市では2008年から、この残骨灰に含まれた有価金属を売却し、市の財源に組み入れる制度を導入したというのだ。
残った遺骨の中の歯、指輪、人工の骨や関節には、金、銀、パラジウムといった金属が含まれていることがある。それを取り出して売り、死の予算ならぬ市の予算に計上するという制度である。
「ウチのジイサンの金歯だろ!」
そういう意見もあるだろうが、残骨灰の所有権に関しては、「収骨前は遺族の所有、収骨の後は市町村の所有」という判決を1939年(昭和14)に大審院(なんだこりゃ!)が下しており、現在も多くの自治体がその立場をとっている。
報じられたところによると、名古屋市では、この収益が2007年度に1019万円。なぜか全収骨の東京でも、業者が金属をまとめて都に収めるという形で行なわれており、2007年度で320万円の収益があったという。
拾ったつもりでけっこう取りこぼしがあるんだね。
※週刊ポスト2012年8月10日号