スポーツ

明徳義塾馬淵監督「潔く勝負して散ったら喜ぶのは相手と客」

 高校野球の甲子園大会がまもなく開始するが、青春甲子園の舞台裏を覗いてみると、“策士”たちの知略が張り巡らされていた。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。<文中敬称略>

 * * *
 突出した個の力がなくとも、指揮官の采配によって勝利をたぐり寄せることは可能だ。その代表格が、松井秀喜への5連続敬遠を命じ、甲子園を埋めた高校野球ファンから“帰れ”コールを浴びた明徳義塾監督の馬淵史郎だ。馬淵は、甲子園において20大会連続初戦勝利という記録を持つ。甲子園で最も嫌われた男は、甲子園の戦い方を最も熟知した指揮官のひとりといえる。

「大投手、大打者がいればそりゃあ楽でしょうが、そうそう松井のような選手は生まれない。高校野球で確実に勝つための一番良い方法は、1番バッタータイプを9人揃えることですよ。出塁率、選球眼、脚力、つまり野球センスのあるやつを並べれば勝つ可能性は高まる」

 20年前、第74回大会の星稜(石川)戦で講じた策に、馬淵は今も後悔していない。

「潔く勝負して散ったら、喜ぶのは相手とお客だけですよ。甲子園で勝つための練習をやってきて、その甲子園で負けるための作戦を立てる監督なんておらんでしょ? 5連続敬遠も、勝つための策だった。後悔するぐらいなら、最初からやっていません」

 その言葉を裏付けるように、7月24日の高知大会決勝では、相手の4番打者を「5与四球」で封じ、2対1で高知に延長12回のサヨナラ勝ち。3年連続14度目の「夏の切符」を手にした。20年前を彷彿とさせる采配だったが、「監督が腹を決めれば選手も決める。よく頑張ってくれた」と馬淵は満面の笑みを零した。

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン