ビジネス

住宅ローン 史上稀に見る低金利水準のため見直しの好機到来

“お金のお医者さん”として知られる「家計の見直し相談センター」の藤川太氏がお金に関する固定観念を解きほぐすマネーポスト連載「お金持ちの方程式」。今回は「貯蓄率」を高めるための切り札として、住宅ローンの見直しポイントを解説する。

 * * *
 節約と聞くと、食費や小遣いといった「やりくり費」を切り詰めるイメージを持たれる方が多いと思いますが、銀行口座から毎月決まって引き落とされる「固定費」を削減した方がより効果的です。何より日々我慢を重ねてコツコツ減らすよりも、仕組みそのものを見直した方が手間は一度で済むうえ、その効果も長続きするのです。

 そんな固定費のなかでも、代表格は何といっても「住宅ローン」でしょう。「生涯で最も高い買い物」といわれるように、一生を通じて支払う住宅ローンの総額は数千万円にも上ります。それをいかに減らすかが貯蓄率を高めるための大きなカギを握ることはいうまでもありません。

 そういうと、「そんなことは百も承知」という声が聞こえてきそうですが、実はいま、住宅ローンを取り巻く環境が激変していることをご存じでしょうか。

 それが史上稀にみる「低金利」です。低金利はバブル崩壊以降、ずっと続いていると考える人も多いと思いますが、ここにきてさらに下がっているのです。

 たとえば、変動金利でみると、ほとんどの金融機関では優遇金利が適用されて「0.875%」(8月適用分、以下同)と1%を切るのは当たり前。なかには三井住友信託銀行のように「0.775%」を提示する金融機関まで登場しています。全期間固定金利の『フラット35』でも、7月分からは「1.94%」と、ついに2%を切る水準まで下がってきました。

 なぜ、ここまで下がってきたかというと、リーマン・ショック、欧州金融危機と、世界的な不況が続くなか、世界中の国が景気刺激策として金利の引き下げに躍起になっているからです。米国では60 年ぶり、英国に至っては18世紀以来の低水準で、その流れが日本の住宅ローン金利にまで及んでいるのです。

 そもそも住宅ローンの変動金利(基準金利)は、信用力の高い優良企業に短期で貸し出す際の優遇金利である「短期プライムレート(短プラ)」に1%上乗せされるのが一般的。ところが、いまやそこから「全期間1.6%優遇」も普通にあり、名だたる一流企業よりも個人が低い金利で借りられるようになっています。

 そんな“異常な状態”がいつまでも続くとは思えませんし、何よりここからさらに下がる余地は極めて少ないでしょう。そう考えていくと、これから住宅ローンを組む人はもちろん、住宅ローンを組んでいる人にとっても、いまが見直しの好機といえるのではないでしょうか。

(連載「お金持ちの方程式」より抜粋)

※マネーポスト2012年秋号

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン