JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
6月に入り、北は北海道、南は九州まで全国で小~中規模の地震が頻発しており、改めて大地震への不安が高まっている。そんななか、数々の地震予測を的中させてきた地震科学探査機構(JESEA)の「MEGA地震予測」は、新たな大地震の前兆が見られると警鐘を鳴らす。
7月2日午前4時32分頃、トカラ列島近海を震源とする地震が発生し、鹿児島県十島村悪石島で最大震度5弱を観測した。ほかにも6月以降、最大震度4の根室半島南東沖地震や茨城県沖地震が相次いで起きている。
実はこれらの地震を発生直前に予測し、警戒を呼びかけていた人物がいる。JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士である。
村井俊治・東大名誉教授が立ち上げたメルマガ「MEGA地震予測」は、6月に入って後述する「ピンポイント予測」で、「北海道」「関東」「九州」などのエリアを名指しして、M6クラスの地震への警戒を促していた。郭博士が語る。
「6月初めに複数の指標から1か月以内に80%の確率でM6以上、または震度5弱以上の地震が発生する可能性のある兆候を確認しました。その後、全国各地で地震が起きましたが、まだエネルギーは放出され切っていないと考えています。今後、さらに大きな地震が起きる可能性は高い」(以下、「」内の発言は郭博士)
MEGA地震予測は、国土地理院が全国約1300か所に設置する電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な「隆起・沈降」などの指標を総合的に分析している。
近年は地表の動きの分析に加え、衛星画像データの解析などを組み合わせた「ピンポイント予測」を実用化し、地震発生の切迫度がより高い時に限って発出している。2024年の同予測の的中率は80%に迫るという。
最近の地震のなかで、特に多くの人が不安になっているのが、鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする群発地震だ。7月2日までの11日間で800回を超える大小の揺れが観測され、SNS上では群発地震の後に大地震が発生するという俗説「トカラの法則」が拡散されている。
「その法則の因果関係は不明ですが、我々の科学的な分析でも全国的な前兆が確認されています」
その1つが「異常変動」による地震の前触れだ。
「4月下旬から6月上旬にかけて、全国で1点も『異常変動』が確認されない週が複数回、ありました。これは非常に珍しいことですが、2016年4月の熊本地震の前にも同じような全国的な静穏状態が見られています」
直下地震が危惧される首都圏では「隆起」の兆候が観測されている。
「5月下旬に電子基準点『箱根』と『三宅3』が前週と比べて急激に1cm以上隆起しました。同様の動きは新潟から伊豆諸島までの富士火山帯周辺に集中しています」
それらの前兆を踏まえた最新の予測結果が別掲MAPの5つの警戒ゾーンだ。以下、詳しく見ていく。