ビジネス

【日本株週間見通し】安倍政権発足で期待感から押し目買いも

 投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の12月17日~21日の動きを振り返りつつ、12月25日~28日の見通しを解説する。

 * * *
 先週の日経平均は上昇。週末には一時10175.06円と4月2日以来の水準を回復し、3月27日に付けた年初来高値10255.15円にあと80円程度に迫った。16日に行われた衆院選の結果は、自民党が単独過半数を大幅に上回る議席を獲得。追加緩和への期待感が強まりやすい選挙結果になったことで、為替市場ではドル・円が84円台に突入。これを好感する格好から日経平均は9900円を回復して始まった。

 その後も米国の「財政の崖」回避に向けた協議に歩み寄りがみられたことや、米格付け会社S&Pがギリシャの信用格付を引き上げたことも支援材料となるなか、景気敏感セクターの主力処が買われた。

 さらに金融政策決定会合での追加緩和策への期待や安倍政権による大型補正への期待が高まるなか、建設など公共投資関連や金融株に資金が集中。金融政策決定会合が開催された19日には1万円の大台を回復。海外勢の資金流入が一段と強まるなか、東証1部の出来高は40億株を超え今年最高、売買代金は2兆円を超える大商いとなった。

 注目された金融政策決定会合では、日銀は国債などの資産を買い入れる基金の枠を10兆円増額する追加の金融緩和を決定するとともに、日銀が目指す物価上昇率の検討に入ることを決めた。想定された内容であったが、日銀の白川総裁は自民党の安倍総裁が求めている「物価上昇率目標」について1月の次回会合で結論を出したいと表明。安倍政権による成長戦略との相乗効果を改めて材料視され、週末には不動産株が軒並み上昇した。

 しかし、米国では「財政の崖」回避を巡る協議が続くなか、当局者の発言などに振らされる面も。オバマ米大統領とベイナー下院議長による譲歩案など歩みよりもみられ、合意期待が高まる局面もみられた。しかし、週末には「米下院は歳出削減法案を可決した後に休会入り、ベイナー下院議長がまとめた減税延長法案に関する審議は始まっておらず」と報じられると相場は一変。当初予定のクリスマス前までの合意は厳しいとの見方となり、為替市場では円高に振れ、日経平均は1万円の大台を割り込んで取引を終えた。

 週末の下げについては過剰な反応ととれるが、大口の海外投資家はクリスマス休暇入りとなるなか、為替市場では積み上がった円売りのポジションは金融政策決定会合のタイミングで反対売買を行う可能性があった。20日、21日の為替動向をみても荒さが目立っており、反対売買のほか、参加者が短期筋に偏ってきたとみられる。株式市場についても同様であり、金融会合の結果発表直後は数分間で乱高下をみせていた。

 今週はいよいよ年内最終週となり、週末28日に大納会をむかえる。日本は天皇誕生日の振替え休日明けの25日から4日間、海外では25日が米国、欧州がクリスマス、26日はボクシングデーで欧州が休みとなる。国内外の機関投資家の資金流入が細る可能性がある。

 しかし、26日に特別国会が召集され、安倍総裁が第96代首相に指名される本会議が開催される。来年1月15日には緊急経済対策を閣議決定し、同月中に召集予定の次期通常国会冒頭に12年度補正予算案を提出する方針を決めている。規模は10兆円程度になる方向で、織り込み済みではあるが、次期政権に対する期待感が押し目買いを強めよう。

 また、海外勢の資金流入は限られるとみられる一方、米国の「財政の崖」回避に向けた協議が混沌とするなか、リスク資産は日本市場に流れやすいとも考えられる。為替動向や主力銘柄の値動きを横目で睨みながらのスタンスとなろうが、強気姿勢は継続。

 物色としては大型補正や日銀の物価上昇率目標検討を受けて、公共投資関連や金融、不動産、自動車などへの押し目狙い。全体の商いが細るようならば、やや仕手系色の強い材料銘柄での値幅取りにシフトしやすい。さらに為替の円安一服の動きが顕著となるならば、足元で調整気味の内需・成長株での値幅取りに向かわせよう。日経平均の1万円大台キープで年内を締めくくりたいところである。

 また、長期トレンドでは2009年以降のボックストレンドのレンジ上限を捉えてきている。月足の一目均衡表の雲下限が9650円辺りに位置しており、余程の波乱がなければ雲下限をクリアする。長期的なトレンド転換をみせてくるため、様子見姿勢というよりも新春相場に向けたポジション取りが期待される。売買代金が再び1兆円を割り込まないことを願う。

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン