ビジネス

2013年「日本株大復活は夢物語ではない。5割上昇もある」説

 2013年に日本株が大きく上昇する可能性がある、と指摘するのは、元ドイツ証券副会長・武者陵司氏だ。いったいどんなメカニズムで日本株が急騰するのか。武者氏が解説する。

 * * *
 日本の中央銀行、日銀の金融政策は、未だ従来型に留まっているといわざるを得ない。9月、10月と2か月連続の金融緩和を実施したが、国債を中心とした資産買い入れ枠を10兆円、11兆円に増額したに過ぎず、期限や総枠を決めず資産を購入するオープンエンド方式にはなっていない。しかも、資産価格が下落した際に購入するセーフティネットとしての役目を維持し、資産価格の押し上げは政策目標に含まれていない。

 だが、2013年は、そうした日銀のスタンスが変わるかもしれない。2012年10月、当時の民主党の前原誠司経財相が日銀に対して外債の購入を迫り、日銀の金融政策決定会合に出席した。そして、政府と日銀が「物価上昇率1%を目指す」という内容の共同文書を発表している。

 また、安倍晋三首相も日銀法の改正を主張している。日銀に強力な金融緩和を実施させるのが狙いである。加えて現在の白川方明日銀総裁の任期は2013年4月まで。新しい日銀総裁の下で、金融政策のスタンスが変わる可能性もある。

 となれば、そう遠くない未来に、日本を覆う円高デフレが解消に向かう可能性は十分にある。

 そもそも米国の景気回復によって、ある程度のドル高・円安傾向が想定されるうえ、そこに日銀が積極的な緩和スタンスに転じれば、その円安を後押しする。1ドル=80円台後半を超えて円が下落すれば、日本の株価に大きなインパクトを与えるのは間違いない。2013年中に80円台後半の水準が定着するだけで、日本株は5割上昇するのではないか。

 というのも現在、日本株は歴史的割安水準に放置されているからだ。株価の割安度を計る目安のひとつとして、「株式リターン/社債リターン倍率」がある。これは、「株式益利回り÷社債利回り」で算出されるものだが、直近では8倍まで上昇している。米国の2倍台と比べると、割安さは一目瞭然。過去、これほど株式が割安になったことはない。円高デフレ解消の道筋が見えてくれば、世界中の投資家の資金が流入する可能性がある。

 日本株の全銘柄の平均PBR(株価純資産倍率)は約0.9倍(11月時点)。それが、世界の主要株式市場の平均である1.7倍まで上昇するだけで、現在の株価は約2倍、時価総額は200兆円増加する。資産価格是正によって、デフレは完全に脱却可能。「日本株大復活」も、けっして夢物語ではないのだ。

※マネーポスト2013年新春号

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン