ビジネス

【日本株週間見通し】米決算本格化も国内要因材料の相場展開

 投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の1月7日~11日の動きを振り返りつつ、1月15日~18日の相場見通しを解説する。

 * * *
 先週の日経平均は上昇。週末には昨年来高値を更新し、2011年2月以来の10800円を回復した。4日の米雇用統計の結果を受けた米株高や1ドル88円台に乗せた円安基調を受けて、週明け7日の日経平均は寄り付きで10743.69円と昨年来高値を更新。

 しかし、その後は決算シーズン入りした米国の動向を見極めたいとする流れや、基準価格の上昇に伴う投信の償還売り圧力なども警戒され、次第に利益確定の売りに向かった。輸出関連や金融関連への利食いがみられる一方、公共投資関連や小売・サービスといった内需系へのシフトに。

 円安の一服から内需系へのリバランスが続くなか、9日には一時10400円を下回り、大発会でのロケットスタート分を帳消しにする局面もみられた。しかし、官房長官は日銀総裁について「首相の考え方を理解してくれる人を選ぶ」との見解を示したことが伝えられると、日銀による追加緩和への期待から再び円売りが優勢に。これを受けて株式市場のムードも一変。輸出関連や金融関連が再び買い戻される展開に。

 3年半ぶりに復活した経済財政諮問会議では、安倍首相は白川日銀総裁に2%の物価上昇率目標の設定を要請。さらに週末には安倍首相が日本経済新聞のインタビューで、日銀の役割について「実体経済にも責任を持ってほしい。雇用を最大化することも頭に入れてもらいたい」と述べ、金融政策を通じて雇用拡大に努めるべきだとの認識を示したと報じられており、為替市場では円売りが加速。

 緊急経済対策への期待感なども手掛かりにドル・円は2年半ぶりに89円台、ユーロ・円は118円台と2011年5月以来、約1年8ヶ月ぶりの水準と、円安が追い風となった。

 政府は11日、2012年度補正予算案に盛り込む緊急経済対策を閣議決定した。政策金融などを含む事業規模は20.2兆円と史上最大規模になった。安倍首相は記者会見で、「デフレ・円高からの脱却が決定的に重要」「政府・日銀の連携が不可欠」「雇用・所得が拡大する強い経済目指す」「基礎的財政収支の黒字化目指す」「民主党が廃止したものづくり補助金を復活」「実質GDP2%押し上げ、60万人分の雇用創出」と表明した。

 デフレ・円高からの脱却には政府・日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠と改めて強調しており、日銀への金融緩和圧力が一段と高まるなか、21~22日の金融政策決定会合までは、買われやすい地合いといえそうだ。政府は12年度補正の大枠を15日に閣議決定し、28日召集の通常国会に提出。補正には基礎年金の国庫負担分の2.6兆円を盛り込むため、総額は13.1兆円となる。

 引き続き国内要因をメイン材料とした相場展開が期待される。日経平均は2011年2月17日高値10891.60円が射程に入り、その後2010年4月30日以来の11000円を目指したトレンドが意識されてこよう。

 ただし、為替の影響を受けやすいため、円安一服となれば週初のような利益確定の流れが強まる局面は十分考えられる。米国では10~12月期決算シーズンとなり、先週はアルミ大手アルコアの決算内容が好感され、企業業績への不安感が和らいでいた。

 今週は16日にJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、17日にはブラックロック、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、インテルなど主要処の決算が本格化する。警戒感が高まる可能性もあり、米国動向に関心が向うことになろう。

 そのほか、14日にバーナンキ米FRB議長講演や15日には米小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景況指数、16日には米地区連銀経済報告(ベージュブック)などの経済指標なども予定されている。米国がやや神経質となれば、主力銘柄への資金流入も一服といったところだろう。

 しかし、政策期待から物色意欲は強い。経済対策で盛り込まれた「復興・防災」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」に関連する銘柄への循環物色に。また、日本再生への期待から、相対的に出遅れ感のある銘柄やセクターへの修正リバウンドの流れも本格化すること期待される。

関連記事

トピックス

石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り」がSNSを通じて拡散され問題に
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン