国際情報

ンゴロンゴロ大草原をすごい速さで走るマサイ族に医師驚愕

 ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、アーネスト・ヘミングウェイが『キリマンジャロの雪』(新潮文庫)などで描いた地、アフリカ5か国を訪問した。

 * * *
 学生時代、ヘミングウェイの小説を読み、いつかキリマンジャロに行ってみたいと思っていたが、今回その機会に恵まれた。1月4日から3週間、私たちの祖先、ホモ・サピエンスの足どりを辿ってアフリカ5か国を回ってきたのだ。

 5895メートル。アフリカでいちばん高い山、キリマンジャロは、タンザニアにある。ヘミングウェイは、この地と、ここに住むマサイ族に魅せられて、長く逗留している。僕もまた、「われわれはどこから来たのか」と360万年前の猿人や原人を追っかけているうちに、マサイ族に魅せられた。

 タンザニアの道路を車で走っていると、顔に黒と白のペインティングを施し、頭には羽飾りをつけた少年たちが通り過ぎた。ガイドに「彼らは何をしているのか」と聞くと、「割礼ボーイ」だという。

 割礼は、宗教的な儀式、風習としてユダヤ教徒のほか、アフリカの一部部族の中に残っているが、マサイ族では、いまだに10歳前後の女の子と15歳の男の子に割礼の習慣を残している。

 実は、タンザニアの法律では、これを禁止している。特に女の子の割礼は厳しく禁止しているらしい。男の子の割礼は、ロコ・ドクターという伝統医療を行なう医療者が割礼をしていると聞いた。

 男の子は数カ月の準備期間を経て、マサイとして生きていくための知識を身につける。その間、邪悪な目に遭わないようにと、顔にペイントしているそうである。普通、食事のとき以外、家にはいられないので、オチンチンの傷が治るまで、この格好で外をウロウロしているのだという。この間は女の子にも相手にしてもらえないので、行き場がないのだ。

 傷が治れば、森に入る。一人前のマサイ族になるために、薬草の勉強をしたり、戦いを覚えたりして過ごす。ときには100キロメートルを移動することもある。ンゴロンゴロの大草原を走るマサイ族を見た。鍛え抜かれた足で、ものすごい速さで走っていた。

※週刊ポスト2013年2月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン